第96話 10年

いろいろな中古艇を扱ってきて思う事があります。どんなヨットを持っているにせよ、10年に
1度、全体のメンテナンスをした方がその後のコンディション、安全等を考えても良いと思い
ます。殆どのヨットがそういう事はしないです。でも、自動車とは違って、ヨットは何十年でも
使えるものですから、それを考えると、日常のメインテナンスに加えて、10年に1度オーバー
ホール的なメインテナンスを施してやると良いと思います。

船体の傷等は補修、ハリヤード、シート類の点検、できれば全部交換する。リギンの点検ですが
ワイヤーは細いステンレスのワイヤーを何本も束にしてありますので、その内の1本でも切れて
いたりすると交換が必要です。特に、ターンバックルと繋ぐワイヤーをスウェージングした部分が
最も点検を要する個所です。それから、キャビンの中の荷物を整理して、使わない物はもってか
える。室内の掃除、クッション類を全てはがしてクリーニング。そうしているうちに、何か不具合も
事前に発見できるでしょう。タンク類は燃料タンクは特に、一度きれいに掃除した方が良い。
各ホース類の割れや漏れ、バルブ類、スタンチューブの締めしろが少ない場合はパッキンの交換、
トイレの水漏れ、モーター類の錆び、バッテリーなど。これら全部を一度点検して、必要に応じ交換、
クリーニング。殆どが自分でできる事ばかりです。そして、エンジンもきれにクリーニングして下さい。
オイル漏れなどないか。錆び取りなど。そして、自分でできない事を専門に任せれば、費用もそう
多くはかからないし、何より、あらためて自分のヨットの詳細が良くわかります。故障してから修理
に出した方が経費は高くつきます。

ついでに、予算があるという方には船体の塗装を施してやっても良いですね。この際、思いきって、
ハルをダークグリーンやネイビーに塗り替えるのも良い。とにかく、10年に1度、トータルに点検、
掃除、クリーニングをされてはどうでしょうか。ヨットはリフレッシュされ、そして自分自身もリフレッシュ
されます。

海外のヨットを見ますと、どれも非常にきれいです。日本では残念ながら、購入にはお金をかけますが
維持にはお金をかけないと言われます。大きなヨットは自分でするにはかなりの労力が必要です。その
点、小型艇は扱いやすい。アメリカで聞いた事ですが、大きなサイズを購入する際、自分でできないので
業者にやってもらう。そういう経費も事前に考慮されているそうです。ヨットのサイズを決める時には、こう
いう事も考慮に入れておくべきでしょうね。メインテナンス経費を極力抑えたいなら、自分でできるサイズ
のヨットを購入する。これもサイズ決定要因のひとつでしょう。

きれいなヨットは皆さん好きだと思いますが?実に気持ちの良いものです。乗らないから汚いのか、汚い
から乗らなくなったのか、いつもきれいにしておけば、乗る時気持ちが良いし、安心です。


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