第二十一話 修理に関して

ヨットをぶつけて船体にクラックが入った。FRPの修理は全く見た目に解らない
ぐらいに修理する事ができます。ところが問題はその修理方法にある。例え
ば、クラック部分をサンダーで円錐状に削り、そこにFRPを積層する。小さい
部分や傷が浅い場合はこれで良いかもしれないが、大きな深い傷となると、
考えなければならない。新たな積層はなんぼでも強くできます。でも、問題は
既存のハルとの接着力にある。場合によっては、新たな積層だけポンと外れる
事もある。或いは、そこだけ強くて、回りが弱い為、周辺にクラックが入る事も
ある。クラックが入ったら、そん周辺を削って積層すれば良いという問題では
無い。

FRPというのは繊維が入っているので強い。これが通常のプラスチックと違う
所です。それを削るというのは繊維が切れる。大きく削れば、広範囲に繊維が
切れる。そこに積層しても、それはあくまで二次接着で、新艇時の一時接着
より接着力は落ちてしまう。それで、どんな風に削って、どんな風に積層する
のが良いか、これが技術力になる。修理箇所にどんな力が加わるか、そういう
事を経験によって考え、修理方法を考えなければなりません。これは経験豊富
な修理屋さんを選ぶ事が大切ですね。彼らは、過去に多くの経験をしています
失敗もあったでしょう。だからこそ、経験があり、どのような修理方法が良いかが
解るのです。

良いヨットに巡り合うのも大切ですが、良い修理屋さんに出会うのも大切な事で
す。修理してもらう時、きちんと話を聞いて、できるだけ理解しようと努めた方が
良い。良く聞きますと、たいていは理解できます。あまり話をしてくれない修理屋
さんはどうかな?医者と一緒かもしれませんね。話を聞けば、構造もわかる。
そして構造にあった修理、何故そういう修理が必要か、という事も少しづつ解る。

とは言っても、ぶつけなければそういう修理も必要無いかもしれませんが、まあ
良い修理屋さんとは仲良くしておいた方が良いですね。そして、暇な時にいろいろ
雑談の中でも質問してみると良い。そうやって勉強すると、いつか役に立つ事も
あるでしょう。そして、自分のヨットがどうなっているか、勉強して下さい。

次へ      目次へ