第九十五話 いいね、シングルハンド

   
   

シングルハンドでやりたいという人達が増えてきました。まあ、恐らくクルーが確保できないからというのがあるのかもしれませんが、シングルが出来れば誰をゲストに招待しようとも何も心配する事もありませんし、自分だけの都合でヨットを出す事も出さない事も自由です。

しかし、シングルハンドの最大の効用は本気セーリングの時ではないかと思います。集中してクローズで走る時舵から伝わってくる微妙な変化とかちょっと舵を間違えるとセールの裏に風が入ってきたりとか、心地良い緊張感を楽しむ時誰か他にいると自分だけが浸るというわけには行きません。それが誰であろうが家族だろうが親しい友人だろうが、どうしても何らかの気を遣ってしまいます。

セーリングにはあらゆるシーンがあって突然集中したくなる時もある。確かに誰かが居てくれたらセーリングを手伝ってくれるわけですが、それがレースでも無い限りずっと自分だけが集中しては居られない。でも何らかの面白さを感じた時集中したいんです。全員が集中したいのなら良いんですが。

テレビを見ている時、傍からいろいろしゃべりかけて来られると肝心な場面を逃がす事があります。何故か、そういう時は大事な場面なので解らなくなる事がある。邪魔して欲しくないんです。この邪魔されたくないという事を実現するにはシングルハンドしか無いと思います。

何人かで一緒に走るセーリングの楽しさも解ります。でも、この時はちょっと緩い感じで楽しいわけです。集中したい時は緊張感を楽しんでいます。まあ、いつもこういう時ばかりではありませんが、でもシングルハンドを身近に、気軽にできる事は面白さの可能性を手にしている事になります。

いつも言いますが、ヨットライフというのは長い期間を費やす遊びです。いくら遊びと言ってもただ快楽だけでは10年、20年と過ごすのには少し無理があります。そこには楽しいも面白いも辛いも、その他いろいろあってこそではないかと思います。そして最後にはいろいろあった事を全て総合して面白かったと言える事が理想です。やりたくない事はやらない方が良い。でも可能性があるならできる方が良いと思います。だから本気セーリングを堪能したいと思うのであればシングルハンドなのではなかろうか?シングルハンドが出来れば、それ以外も何でもできるという事なのですから。


目次へ      次へ