第九十一話 10マイル圏内には全てがある

   
   

ホームポートから10マイルという距離はエンジンで真っすぐ走ってもだいたい2時間ぐらい。往復すると4時間です。それをセーリングで走るとなると何倍もの時間がかかります。もちろん風向や風速によっても違いがありますが、要はかなり広大な海域であるという事です。日常的なフィールドとして考えると十分以上の広さがあると思います。

あくまでセーリングを主に置いてますからエンジンを使うというのはあまり考えないで、この圏内で何ができるのかという事ですが、当然ながらあらゆるセーリングを試みる事ができます。セーリングの相手はどこかの島とか半島とかそういう陸では無く、相手は風に対してセーリングをするという事になります。

風に対して上り下る。横からの風もある。舵を操作してどっちに向かうかは自由です。何しろどこかに行きたいわけでは無く、あくまでセーリングをしたいわけで、上りを走りたいとか横風とか下りとか、その時の状況と気分もあると思います。また新調したジェネカーを試したいとかいろいろあるでしょうし、さらに風向も風速も変化しますし、つまりセーリングの全てがそこにあります。波もあります。したいセーリングの全てが自由自在に味わう事ができます。

もし10マイル圏内を超えるとしたらそれは旅の要素が入ってきます。出発前に目的地を決めておいてセーリングをし、状況に応じて途中からエンジンに切り替えて目的地に向かうのでも良いし、その辺は臨機応変に対応する事ができます。たまには旅先でヨットで眠るというのも悪くない。一泊か二泊でも良いのですが、近場を計画して余裕を持ってセーリング、エンジン、泊まりを考えても良いと思います。何が言いたいかといいますと10マイル圏内というとても狭い範囲と思うかもしれませんが、それは海全体から見てそうなのであって、自分を起点に考えれば広大であり、ここに全てがあります。数百マイル離れていようが、10マイル圏内だろうが、風は同じ様に弱くも強くも吹きます。そしてもし帰りたかったら急ぎたかったら、エンジンで真っすぐ変えれば2時間もあれば帰れます。もちろん、10マイルにこだわる事無く5マイルでも十分広いです。

いつか遠くの海へと思う方々も多いと思いますが、行っても良いですが、10マイル圏内で同じ様に楽しむ事ができます。10マイルでどこかに泊まったとしたら、そこからまた10マイル走れば次の旅になります。そしてそのまた次も10マイルとする事もできます。ここで言うのは、あくまでセーリングを楽しむ事が目的です。ですからセーリングと旅は分けて考えるというのは如何でしょうか?

5マイル圏内、10マイル圏内、セーリングを主体にして考え、10マイルを超える目的地を考える時は旅をプラスして考える。泊まりも含めて一泊か二泊程度です。これならデイセーラーだって十分ですね。それでデイセーラーにしたら自由自在が手に入ります。

10マイル圏内と書きましたが5マイルでも良いし、10マイル、15マイル、20マイル、もっとでも良いですが、セーリングとする時、旅とする時、距離によって違ってきます。しかもこれは往復ですから2倍の距離があります。距離がとおくなればなる程セーリングばかりとは行かないかもしれません。エンジンも使ってそこは臨機応変です。近場ならセーリング、遠くなるならエンジン、遠くに行けば行く程天候に注意を払って安全第一です。

ところで10マイル圏内に全てがあると書きましたが、10マイル圏内に無いものは何か? それは旅としての楽しみですね。これは10マイル圏内にもあるんですが、旅は単に場所を移動しているだけでは無く、旅の情緒みたいなものもあります。旅先にしかない情緒みたいなものです。これは行ってみないと解りません。ですから旅は楽しいのですが、セーリングとはまた別のものです。

セーリングには目的地は必要ありません。必要なのは風です。旅に必要なのは目的地です。全然違います。セーリングは面白さがあり、旅には行く先々の情緒がある。そして10マイル圏内にはやりようによってその両方を味わう事ができる。そして何より気軽さが違います。どうぞホームポートから5マイル、10マイル圏内を考えて見てください。


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