第七十四話 デザインにおける制約

   
   

人間がキャビンで快適に過ごすという前提を考えるとキャビンは広い方が良いし天井の高さも十分高さをキープしなければなりません。しかし、それを取っ払ったのがデイセーラーでした。多くの場合でキャビンの天井は低くある程度以上大きなサイズで無ければ真っすぐ立てません。おまけに幅もスリムなので決して広いわけではありません。キャビンは必要最小限という考え方がこのデイセーラーによって受け入れられた。これは画期的な出来事です。それは丁度クルージング艇がキャビン拡大競争をしていた同時期ぐらいです。つまりクルージング艇の正反対を進んだのがデイセーラーです。今のクルージング艇のデッキは非常に高い。一方デイセーラーは低く海面に近い。この差は美しさのみならずセーリングにも大きな要素となります。

この事はデザイナーからすれば大きな制約が取っ払われたものですから、デザイナーは好きな様に自分の美しさを自由に表現できたわけです。各デザイナーが理想とするセーリング性能を考え、これはただ速いという事だけでは無く、操作性や安定性も含めて美しくデザインします。またレーサーでは無いのでハンディなんかも考える必要がありません。デザイナーにとって自由度が非常に高まったという事になります。

この事によって多くのデザイナーがデイセーラーをデザインしています。中にはデザインだけで実際には建造されていないデザインも数多くあります。クルージング艇におけるキャビンという実用性を減じて理想的なセーリングヨットをデザインする事ができる。これが美しいデイセーラーデザインの根本にあると思います。


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