第七十三話 アレリオンの戦略ミス

   
   

アレリオン28をデビューさせて、初期には苦戦もした様だが徐々にデイセーラーコンセプトが受け入れられてそれが世界中に広まります。アレリオン28はこれまでに400艇を超えて進水させてきましたが、これはニッチ市場においては驚異的な数です。当時プロデザイナーの中で最も美しいヨットと評されたものです。アレリオン28の人気に連れて他のモデルもデビューさせていきます。これは当然の戦略なのでしょうが、ことアレリオン41のデビューにおいてミスがあった。

アレリオン41には電動ウィンチはもちろんの事、カーボンマスト、セールのグレードアップ、ここまでは良いとしても内装にチークを多用しその造作は高級感たっぷりでした。つまり内装だけを見れば高級クルージング艇という感じです。これが戦略ミスだったんだろうと思います。デイセーラーの基本コンセプトはアコモデーションでは無く高い帆走性能です。ところが内装はクルージング艇の領域に及んだ。誰もそんな事を望んで居なかった。結果排水量が重くなってしまった。もちろんクルージング艇よりはかなり軽いのですが。これはパフォーマンスに関わる事でした。やりすぎちゃったんだな〜と思います。まあ、長い間にはこういう事もありますね。

やがてアレリオン41は生産中止となりますが、この実例を見てか見ぬかは解りませんが、他の造船所からは次々に大型のデイセーラーが出てきます。しかしいずれも内装はシンプルに留めています。但し、しっかりとした造りです。それで良かった。それがさらに進んで前記しました通りカスタムの60フィートデイセーラーも建造され、そのヨットには内装は全く無かった。まあ、これは極端な例ですがこのデイセーラーは完全カスタムで個人の好みなので良いのですが、レギュラー的に建造される艇として内装無しというわけにはいきませんがシンプルで十分です。市場は豪華な内装なんか望んでいないのですから。

今日、市場は育ち要求は明確になってきました。デイセーラーとしてのパフォーマンスを維持しつつ内装はシンプルで良い。でもしっかりとした造りで強固な船体を支える事。そして何と言っても他にはできない様な美しいデザインです。


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