第五十七話 使い方のジャンル分け


      

レースはしない? ならクルージング艇というのが普通の流れでした。昔の事です。でも、現代のクルージング艇はキャビンが突出してきました。その分、重くもなった。そこで、旅以外にも、普段ピクニックしたり、セーリングしたりと楽しみたい方々には、別の選択もあると思うのです。

上の写真の内装を見て、誰もレーサーだとは思わない。どこからどう見てもクルージング艇のそれです。ところが、このヨットはレーサークルーザーとかパフォーマンスクルーザーとか言われます。その違いは、船体の軽量化と剛性の高さにあります。つまり、旅一辺倒では無く、セーリングも少し高いレベルのフィーリングを味わって欲しいというものです。加えて、旅の性能も高いのです。

旅におけるキャビンとしては充分に満たしていながら、セーリングパフォーマンスを重視、最新の工法によって軽量化を図り、パフォーマンスを上げています。だからこそ、日頃のセーリングを面白く楽しむ事ができる。セーリングするなら高いパフォーマンスの方が面白さが違います。

レーサークルーザーという名称のレーサーという名前で拒否反応を示す方もおられますが、写真を見ると、どこにもレーサーの陰はありません。造船所はセーリングを強調する為にそういう名前を使いたがるが、ハイパフォーマンスクルーザーという名前が相応しいかなと思います。

この内装をシンプルにして、さらに軽量化を図ったヨットがありますが、それこそがレーサークルーザーと呼ぶに相応しいと思いますね。もちろん、パフォーマンスクルーザーでも盛んにレースで使われたりしますが、それはオーナー次第です。

  このアルコナ34ですが、いわゆる普通のクルージン
  グ艇と何が違うって、排水量が軽量化されているの
  はもちろんですが、例えば、キャビン床下には、写真
  の様なフレームが設置してあり、マスト/リグ、キー
  ルから来るストレスをここで受けています。





旅をすると、それがロングであればある程、荒れた天候に遭遇する可能性が高くなります。そんな時は出航しなければ良いわけですが、出た後で時化てきたら耐え抜くしか仕方ありません。そんな時、ヨットの違いが歴然と現れてきます。身体の疲れ方が違うとかありますが、それより何と言っても安心感が違います。

アルコナヨットはビュフォート10(風速25mぐらい)で、波高が7m迄、そんな条件で最低でも連続5日間以上、自艇のみで耐えられるという条件を満たしています。だからこそ、旅にお勧めですし、尚且つ、普段のセーリングにもパフォーマンスを楽しむ事ができます。

但し、一般のクルージング艇もそうですが、このアルコナも特にシングル仕様に仕立てているわけではありません。ただ、慣れた方はシングルでも乗られるし、二人居れば操船に問題は無い。旅は道連れと言いますから、旅はどこに行くかという事も重要ですが、誰と行くかも重要です。



と言う事で、セーリング+遠近両方の旅には、パフォーマンスクルーザーがお薦めですし、シングル+セーリング+近場の旅というなら、デイセーラーという次第です。因みに、アルコナには34〜46フィート迄、5モデルあります。

昨今、セーリングという事自体があまり重要視され無くなってきた様な気がします。それより広さとか設備による快適さを強調してきているのではないかと感じます。でも、やっぱりヨットですから、セーリングを味わって欲しいと思います。何しろ、それこそがヨットでしか味わえない体験ですから。

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