第五十話 デイセーラーバリエーション


      

20フィートから60フィートまで、プロダクション化されたデイセーラーのサイズのバリエーションですが、今度はスピードポテンシャルにもバリエーションがあります。何故なら、セーリングを楽しむには、様々なスピードアプローチがあるからです。サイズだけでは無く、スピードにも様々なバリエーションがあってしかるべきです。

スピードポテンシャルを推し量るにいつもセール面積/排水量比をあげますが、もちろん、それ以外にも様々な要素があります。しかし、基本はこれではないかと考えますので、いつも重視しています。その数値を得たうえで、水線長の長さや船型とか見ますが、比較する時の目安としての基本がそこにあると思います。

ある人はスピード好きで、より速く走る為に、いろんな調整をして楽しみたいと考える人も居ますし、そこまで速く無くても良い、それよりゆっくり走りたいと考える人も居ます。デイセーラーはより速い方が良いとか、より安定性が高い方が良いとか、一方的な事は無く、要はいろんなアプローチの方法があって良いという事です。どんなセーリングをしたいかによって選択は違ってきます。デイセーラーというひとつのコンセプトにおいて、これだけの広いバリエーションを持つ、そういうヨットは他には無いですね。

だからレーサー並みもあれば、クルージング艇並みもあります。でも、共通するのはスリムな幅と低いフリーボード、それにキャビンはウィークエンダー並みで、ロングの旅は考えていない。そして、シングルハンド仕様という事になります。

さらに、キャビン一切無しというのもちらほら出てきています。より軽量化はしていますが、だからって超高速狙いというわけでも無い。速いのは速いがセールを小さくして、より楽に乗るという考え方もあります。つまり、軽量化はどのデイセーラーもやりますが、その程度問題とセールの組み合わせで、どんな乗り方をしたいかという事のバリエーションが増えています。

レーサーなら勝てるヨットという事になりますが、デイセーラーはいろんなアプローチの仕方があります。それを想像してみるのも良いかもしれません。見た目のデザインの好き嫌いや各データを見て、その想像した内容が自分のスタイルに合うかどうか?これからデイセーラーはもっと面白くなると思います。



写真はB34。高速狙いは間違いない。見るからにそうです。しかし、フルのチークデッキにしています。重くなるにも拘わらずです。ただ速ければ良いというのでは無く、見た目の柔らかさとか、そんな処も大事にします。もし、チークデッキじゃ無ければ、もっとマシン的な感じがするかもしれませんね。好き好きではありますが。

デイセーラーとは何か?そしてセーリングとは何か?様々なセーリングと、様々な風と、ヨットの性能と自分の腕と、これらの組み合わせは膨大ですから、それをより多く味わっていく事だと思います。そのうえで、自分の知識や腕が上がっていくというコントロールできる部分がある事によって、セーリングの味わいを変化させていく事ができる。それが面白さではないでしょうか?つまり、同じ風、同じヨット、でもセーリングは進化させる事ができる。その味わいや如何に。風は選べないが、ヨットは最初に性能を選択し、後は自分が成長していくのがお楽しみ。

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