第五十一話 世界で最もクレージーなヨット


      

アドミラルティー30はワンデザインのレーサーであり、デイセーラーでもある。全長9.0mに対し、幅は僅か1.73m。排水量は1,100kgで超軽量、そのうち700kgがバラストです。バラスト比で言うと、63%に及びます。クレージーですね。

ハルはバキューム/インフュージョン工法、もちろんジブファーラー、マストとブームはカーボン製、セルフタッキングジブでも行けるとか。レースするのかデイセーラーなのかの違いの様です。デザイナー曰く、このスレンダーなハル形状は、横方向の重心がヒールした時に後部へ移動し、ヒールした時でも舵はニュートラルを維持し、ドラッグ(抗力)は最小限になるとの事。

世界はこんなヨットで遊ぶ人達も居る。クレージーな人達なのかもしれません。でも、最高に楽しんでる連中なのかもしれませんね。そんな感性を持っている人達だけが楽しめる。誰にでも薦めるわけじゃないと言ってます。それにしても、こんなクレージーなヨットでもワンデザインのレースが成立するなんて、日本では考えられない。

そうしたらLA28(写真下)がまともに見えてくる。オールマホガニーのデイセーラー、これだってマニアックだな〜と思っていましたが、上には上が居る。世界ははやっぱり広いです。



おっと他にもある。こちら(下の写真)は一見普通のデイセーラーに見えるが、実は車椅子のままステアリングを操作できるようになっている。ステアリングにスポークが無いので、車椅子のまま、そこに突っ込める。世界は進んでるな〜。





世界はここまで来ている。デイセーラーに割り切れるとか割り切れないとか、そんな処はとっくに過ぎて、面白いかどうか次第、彼らは自分自身に正直ですね。それができるのは遊びだからではないかと思います。誰に気兼ねするでも無い。遊びぐらい自分の自由な発想で、自由に遊ぶ。

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