第五十四話 デイセーラーの広がり


      

オランダのレオナルドヨット社はクラシックラインを持つデイセーラー専門の造船所、今年、イーグル37を発表し、それが来年の初めに完成しデビューする。これで、37、44、54という三つのモデルを持つ事になるが、さらに70フィートが発表された。相変わらずの好調振りが伺える。

このサイズでも基本はデイセーラーとしてのパフォーマンスだが、より大きくなったサイズには、それなりの空間が伴うので、当然ながら、サロンやキャビン、ギャレーなどが充実してくるが、それでも、豪華さを強調するのでは無く、これまでがそうだった様にシンプルさを携えて出て来るのではなかろうか?何故なら、やはりデイセーラーとしてのコンセプトは変わらないからだ。必要以上に重くする必要も無いし、このヨットの考え方は、旅を目指しているわけじゃ無い。あくまでセーリングなのです。

このサイズの高いパフォーマンスのセーリングはいかなるものか、フルにパワーアシストを装備して、簡単に操作できる。流石にクルーキャビンがあるが、これは日本人なら必要無いだろう。それより、ここはセールロッカーにでもしておきたい。近場の旅を含めた範囲でのセーリングを堪能する為のヨット、このサイズあるからって、ロング一辺倒というわけじゃない。むしろ、近場という気軽さでセーリングを楽しみ、必要なら泊まりも充分。

他のデイセーラーも同じだが、できるだけ少人数で高いセーリングパフォーマンスを楽に楽しみ、状況に寄っては泊まりも可能という具合で、泊まり、つまり旅を優先するというクルージング艇とは異なる。それが70フィートであろうとも同じです。もちろん、30フィートのデイセーラーでも同じです。あくまで、セーリングを高いレベルで味わえる事が優先される。それが70フィートにまで及んできた。つまり、欧米ではそういう需要が出て来たという事になる。

レーサーじゃ無い、クルージング艇じゃ無い、ただ、美しいハイパフォーマンスのヨット。こういうジャンルは欧米で増えて行く。サイズの事では無く、そういう考え方です。誰もが1ヶ月も2ヶ月も旅を続けたいわけじゃない。近場で気軽にセーリングを楽しみたい。それは30フィートでも同じです。

レースにはまる人達が居て、旅にはまる人達が居て、彼らとは別にセーリングにはまる人達が居る。彼らは美しさを求め、フルパワーアシストによって簡単操作を可能にし、高いパフォーマンスを楽しむ。たまのレースも楽しむかもしれない、たまの旅も楽しむかもしれない、でも、セーリングそのものを純粋に楽しむ人達です。彼らはデイセーラーです。 



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