第61話 変化を楽しむ

世の中、変化が無くなったらおしまいです。誰でも変化を求めているのではないでしょうか。
変化が無いと退屈になります。そして、変化が無いものは本当は無い。ただ、,物事によって
変化の速度が違うだけだと思います。

誰でも、何もしなくても変化は来ますから、それを受動的に受け取っています。そして、自分
から進んで、積極的に変化を求めるのがチャレンジと言えるでしょう。趣味はチャレンジとなり
ます。どんな趣味でもです。例えば、何かを集めるのが好きな方がおられます。彼らは、常に
コレクションに加える何かを求めています。その為にはどこへでも出かけたり、大枚をはたい
たり、ひとつ加える事に喜びがわいてくる。これも変化ですね。もし、完璧に全てを集めてしま
ったら、後は退屈になって、また別の物を集めたくなるでしょう。面白いというのは変化が無く
ては成り立たないと思います。

さて、ヨットですが、趣味で始めたヨット。それに変化を求めているでしょうか。確かに、最初は
変化があった。何もかもが新しい出会いです。ところが、だんだん時が経つにつれて、変化で
は無くて、安定の方向に向かっている。それが何度も言う、キャビンなのです。キャビンも変化
します。だんだんと汚れて来たり、壊れたり、磨けばまたきれいになる。でも、この変化は非常
に遅いのです。この変化をエキサイティングに感じ取れる人は居ないでしょう。これがいけない
のではありません。これを第一目的にもってくるから飽きるのです。退屈なのです。大きなキャ
ビンは寛げると思うでしょう?確かにその通り、でも、変化しませんから、退屈になるのです。
変化するのは、テレビやラジオ、音楽、読書、こういう物でしょう。これは自宅に居るのと同じで
す。自宅はまだ変化します。かみさんの機嫌が良くなったり、悪くなったり、子供が帰ってこな
かったり。トラブルもありますが、変化しているのです。でも、もし、一人でヨットに居たら、変化
の度合いは非常に少ない事になります。それで、誰かを連れてくる。これもあまり変化しません
何故なら、呼ばれた方は気を使いますから。それで、いつも同じ人では変化が少ないので、また
誰か別の方を呼ぶ。同じ事です。同じ事をえんえんと繰り返す事になる。本音では変化を求めな
がら、変化の少ない事をしようとしているのですから、退屈になるはずです。退屈になったら、変
化を他に求めれば、ヨットには来なくなります。或いは、ヨットに変化を求めて、遠くへ行きたくな
ります。遠くへ行った変化は、意識は目的の場所にありますから、やはり最初は変化しますが、
余程暇がないあっちこっち旅を続けられませんから、やはり変化の度合いが少なくなります。

変化を求めるのに最も手軽な方法は、目の前の海域でセーリングする事です。簡単なことです。
この簡単な事なのに、遠くばかり見ていのです。最手軽に変化を楽しむにはデイセーリングが一
番なのです。ですから、これを最も楽しむにはどうしたら良いか、こういう事をベースに考えるのが
最も良いと思います。

年に何回ロングを走れるかはそれぞれでしょうが、仮に2回としましょうか、各1週間づつ費やした
として、あとの50週間はどうします?仮に、年4回としても、あとの48週間はどうしますか?仮に
2、3ヶ月費やして日本一周したとして、いや5ヶ月でも6ヶ月でもかまいませんが、後の月はどうし
ましょう?それに、毎年、日本一周しますか?

たまに旅行に行くのは楽しいものです。でも、日常も楽しくないとつまらないでしょう。日常の方が
期間が長いのですから。それで、どんなヨットに乗ろうが、日常のデイセーリングを楽しく過ごせる
ようにしておく事を薦めています。シングルでもダブルでも、大人数でも良い。ただ、いつでも、自分
が出たい時に出せるようにした方が良い。それで、現実的にはシングルハンドがお奨めです。クル
ーが居ないのが普通だからです。
そこそこのサイズがあれば、日常乗っているシングルハンドで、日本一周できます。ある方は65歳
ぐらいだったでしょうか、27フィートで日本一周されました。いろいろたくさんの港に入って、昼間
だけ走る。そういう乗り方です。デイセーリングの積み重ねです。外洋に行くわけじゃないんですから

30フィートでも50フィートでも、100フィートでもかまいません。日常に気軽に出せるなら。

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