第二十話 デザイン



      
スピードが全てであるなら、クラシックデザインは存在できなくなります。何故なら、クラシック系のデザインでは前後にオーバーハングを設けており、その為、水線長が必然的に短くなり、スピードに影響を受けます。また、モダン/クラシック系はスピードを求め、排水量をより軽く、バウ側にはオーバーハングがありません。でも、スターン側には長いオーバーハング、これによってクラシック感を残しています。 これらを見ますと、スピードだけが全てでは無い事を意味していると思います。クラシック系のデザインは世界的に見ても人気が高い。

もちろん、ハイスピードをひたすら求めても良いわけで、これはオーナーの価値観の違いという事になります。そうなると、モダン系デザインで、オーバーハングは殆ど設けず、できるだけ水線長を長くします。しかし、こういうモダン系でも、本当はスピードだけを楽しむわけでは無いと思います。セーリングには、いろんな側面があり、セーリングのあらゆる面を自分の操作と伴に味わってこそのセーリングライフではないでしょうか。

レースなら別ですが、所謂セーリングを個人の趣味として楽しむ場合、デザインは大きな意味を持ってきます。見た目はどうでも良いという事は無いでしょう。スピードというのは大きな意味を持ちますが、それでも、クラシック系が好きな方には、少しスピードを犠牲にしてでも求めたい要素になると思います。と言っても、デイセーラーのスピードは全般的に高くなっています。クラシック系でも、クルージング艇より速いですから、充分に楽しめます。

自分の感じた美しいヨットを、美しくメインテナンスして、美しく走らせる。セーリングしていろんな面を味わっていく。いろんな風と海、それに自分のヨットと操作、それを余すところ無く味わっていく。それがセーリングの面白さではないかと思います。

        

次へ       目次へ