第三十一話 これからはデイセーリング



      
昔々、レースが結構盛んだった、多くの方々がクルーを従えてレースを楽しんでいた。昔はクルーがたくさんいたんです。それが25年ぐらい前からか、これからはクルージング艇だと言われるようになり、実際にそうなってきました。ジブファーラーやドジャー等々は普通になり、キャビンは拡大され、冷蔵庫や温水が当たり前になり、さらに最近ではメインファーラー、電動ウィンチ、ヨットによっては、エアコン、バウスラスター等も採用されるようになってきました。ところが、それも最近は転機を迎えつつあるような気がします。

これからはデイセーリングの時代です。何故なら、まだクルージング艇全盛ではありますが、そろそろ、みなさん薄々気が付いてこられたのではないでしょうか? それは、クルージングに行く暇が無いという事です。みなさん忙しいんです。アメリカ人なんかは、それで、ヨットを別荘代わりとして定着させてしていますが、日本ではそれは殆どありませんでした。

そんな忙し方々も、手軽に、短時間でできるのは、友人や家族を誘ってのピクニックです。天気さえ良ければ、実に楽しい。しかし、このピクニックも、これだけでは満足度が足りません。年数を重ねるに従って、乗る回数も減ってきてないでしょうか?

それで、このピクニックにプラス、ちょっと本気を出したセーリングをお勧めします。例えば、ピクニック中の上りだけに本気をちょっと出して走らせてみるとかです。そうなると、シート操作以外に、トラベラーも使います。使えば、その機能を考えて頭脳も感性も、もっと動きますから、セーリングが少しレベルアップします。或いは、ピクニックをする日とは別に分けて本気セーリングをするとかです。理想的には全ての艤装を使いこなす事ですが、例え、そこまで行かないにしても、ちょっと本気出すだけでも、セーリングの味わいが違ってきます。

その本気セーリングに面白さを感じたら、自然ともっとセーリングの事が知りたくなります。それが、セーリングをもっと面白くします。やがては、全ての艤装を自由自在に使えるようになれる。実際、そうそう難しい事では無いんです。気持ちの問題です。もちろん、ピクニックも継続してやりますし、時にレースに参加したりもするかもしれません。セーリングは難しそうだからしないとか、簡単そうだからするとか、そういう風に決めるものでは無く、面白そうならやります。難しさなんてどうにもなるんです。

これらは、全て一日の出来事であり、しかも、短時間ですが、とっても濃密な時間です。いくら忙しくても、これぐらいは時間取れないと遊べません。忙しいからこそ、休息が必要です。でも、だからと言ってのんびりしているだけでは駄目で、日頃のストレスを解消する良い方法は、のんびりでは無く、好きな事に集中して、ワクワクする事こそがストレスの解消になると心理学的にも言われています。

だから、これからは、デイセーリングが良い。全てを忘れて、セーリングの世界を味わいます。気軽で、短時間で、濃密な時間です。そして、セーリングの後は、ゆったりお茶して、その時間が何とも良い気持ちです。何故なら、セーリングが面白かったからです。このギャップが実に気持ちが良いです。面白いセーリングをやってみませんか? これからは、ちょっと本気のセーリングで、ちょっと上行くセーリングを味わいます。現実に、欧米では既にこの流れが始まっていて、別荘、や〜めたという人が徐々に増えてます。その証拠に、欧米でデイセーラーが増えてますし、大手のクルージング艇のビルダーも、ちょっと内装をワンルームにして、デイセーラーと称したモデルを出したりしてます。あれは、とてもデイセーラーコンセプトとは思えませんが、それはそれとして、そういう兆候が出てきたという事です。

これからはデイセーリングの時代がやってくる。

        

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