第六十話 マイルド〜ホット

セーリングを主体にして楽しむのであれば、それがデイセーラーだろうと、ハイパフォーマンスクルーザーであろうと、SADR値が20前後〜25前後ぐらいが良いのではないかと思っています。

20前後ですと、ちょっとマイルドな感じだろうと思いますし、それが25前後になると、ホットなセーリングと言いますか、スポーツ性が高くなるかと思います。もちろん、レーサーのそれとは違います。
あくまでセーリングを楽しむという点においてです。

それで、シングルからダブルハンド程度であるなら、ノンオーバーラップジブやセルフタッキングジブあたりが使いやすいと思いますし、そのセールサイズで、この数値内になるなら、結構面白いセーリングがでるかと思います。

SADR値20前後というのは、微風なんかでは、もうちょっとと思うかもしれません。それで、SADR値25ぐらいになりますと、もう少し走るでしょうが、それでも、もうちょっとという気持ちも出るかもしれません。そこで、自分の感覚次第ですが、もうちょっとと思う時は、微軽風用のコードゼロ的ジェネカーを展開すれば、十分な面白さを得られるかと思います。

どんな性能のヨットであろうと、微軽風でビュンビュン走るなんてことは無いわけですから、その対策さえしておけば、後は、通常のセーリングをどのようなレベルにまで引き上げておくか次第、これはそのヨットの性能次第という事になって、一応、一般的なセーリングとしては、25前後まで行けば、かなりのスポーツ的性能を味わえるのではないかと思います。

この範囲に入れる為に、ジブに代わって、ジェノアの展開という事もあり得るわけですが、でも、ジブとジェノアを比べてどちらが操作し易いかは明白で、トータル的なセーリングという観点で言えば、大きなジェノアと小さなメインという組み合わせよりは、小さなジブと大きなメインの方がメインの操作範囲が広いので、セーリングの面白さという意味では、同じSADR値でも、後者の方が良いのではないかと思います。

それに小さなジブの場合は、より内側に引き込む事ができますので、上り性能も良くなります。こういう性能のヨットの場合、セーリングをより楽しめるのではないかと思っています。そのうえで、いつも言ってますので恐縮ですが、スタビリティーが高く、船体が硬いヨット、これがさらに扱いやすいだけでなく、フィーリングの向上に繋がっていくと思います。

舵の鋭敏さは、レーサー程は無いと思います。もちろん、その方が良いとも思います。何故なら、シングルかダブル程度の操船が前提に置かれると思うからです。これがレーサーになりますと、クルーが増えるので、舵操作ももっと鋭敏になって良いし、レースではその方が良いという事になり、
逆に、クルージング艇ではもっとマイルドになっていくと思います。

従って、SADR値20〜25というのは、クルージング艇とレーサーの中間的な性格になると思います。だからこそ、シングルやダブルハンド程度の帆走で面白さも味わえると思う次第です。この範囲内に入るヨットが、デイセーラーであり、ハイパフォーマンスクルーザーです。セーリングを楽しみつつ、シングルでの容易な操作を実現したデイセーラーか、クルージングを楽しめるハイパフォーマンスクルーザーかという処になると思います。

次へ       目次へ