第六十一話 デイセーラーVS.ハイパフォーマンスクルーザー

この二つのコンセプトのヨットを比較してみたいと思います。A)アレリオン33 B)アレリオン33スポーツ C)アルコナ340、A)とB)はデイセーラーです。A)は言わば、オーソドックスなデイセーラーであるのに対し、B)はそれをもっとスポーティー化しています。C)はハイパフォーマンスクルーザーです。

  アレリオン33(A)
  全長:10.06m
  水線長:8.03m
  幅:2.82m
  吃水:1,52m
  排水量:3,915KG
  バラスト重量:1,485KG
  バラスト比:38%
  SADR値:23
  セルフタッキングジブ+メイン(56.5u)

  アレリオン33スポーツ(B)
  全長:10.06m
  水線長:8.03m
  幅:2.82m
  吃水:1.52m
  排水量:3,600KG
  バラスト重量:1,485KG
  バラスト比:41%
  SADR値:24.4
                               セルフタッキングジブ+メイン(56.5u)

  アルコナ340(C)
  全長:10.40m
  水線長:9.80m
  幅:3.45m
  吃水:1.95m
  排水量:5,200KG
  バラスト重量:1,950KG
  バラスト比:37.5%
  SADR値:22.6
  106%ジブ+メイン(67.2u)


工法はいずれもサンドイッチ構造で、バキュームインフージョン工法を採用しています。A)とB)の違いは単純に船体重量の違いです。内装のシンプル化とその他で重量を減少させています。その結果、SADR値が上がっているという事とハル重量が軽くなって、バラストは同じですから、バラスト比も高くなっています。この三つをみますと、SADR値はそう大きくは違いません。B)が少しスポーティーさを感じさせます。

  アレリオン33の内装(A)










  アレリオン33スポーツの内装(B)










  アルコナ340の内装(C)











写真を見れば、内装の違いは明らかです。つまり、SADR値がそう変わらなくても、内装はこれだけ違いますし、幅などのサイズも違うので、重量が違う。よって、その重量をセールプランでもって同じようなセーリング性能を持つようにプランされています。

さて、これらの数値データをじっくり考えながら見ますと、いろんな事が想像されます。A)とB)の違いは、船体重量の違いだけです。もちろん、それに伴う内装等、デッキ艤装が少し違いますが他は同じです。この違いは内装よりも、よりスポーティー化したのがヨットB)という事になります。

ヨットC)は幅も大きくなって、キャビンも充実させていますので、重量が重くなっています。その分、セールが10.7u分大きくなっています。これによって、SADR値を同等ぐらいに得ています。
また、船体は大きい分、重心は高くなりますが、幅が広い事によるフォームスタビリティーがあります。

セールが小さい上に、船体もボリュームが小さいので、デイセーラーはシングルでも気軽になれます。反面、キャビンは小さい。ハイパフォーマンスクルーザーC)はキャビンが大きくなり、ボリュームもありますが、ロングクルージングも考慮されています。

それで、デイセーラーは副題としてウィークエンドクルーザーという名前が付き、ハイパフォーマンスの方はクルーザーという名前がついています。

データを良く見て、いろんな想像ができますので、そういう考察をしていくには、ある程度の知識は必要ですが、いろいろ考えていくのも面白いし、よりヨットが解ってくるかと思います。

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