第五十三話  継続

継続は力なりと言われますが、そう言われる所以は継続する事が難しいという意味でもありますが、難しいからこそ力になるという事だと思います。ヨットという遊びでさえ、継続するというのは簡単な事では無いようです。遊びでさえ難しいのに、他の事は尚更ですね。

継続する力は動機付けによるのではないでしょうか? ヨットに乗って楽しかったというのは動機付になりますが、実は弱いものではないでしょうか?長く、10年も20年も継続するには、動機としては弱いのではなかろうか?もちろん、これで、続けられないわけでは無いと思います。しかし、年間の使用頻度はかなり低いものであるような気がします。

そこで、何を動機として持つかと考えますと、それは面白さにほかならないのでは無いでしょうか?
面白さとは、楽しさを含めて、ありとあらゆる感情を受け入れる事、面白さとして全体を受け止める事ではないでしょうか?

長い事やっていれば、良い事もあれば、悪い事もあります。仲間と良い時間を過ごして楽しかったという事もあれば、雨も降れば、雪も降る。無風もあれば、時化もある。突如、何らかのトラブルという事だってあるし、或は、これまでに味わった事の無い、しびれるようなセーリングを経験する事もあります。それら全部を引き受ける気持ちが、面白さという事ではないかと思います。良い事ばかり期待していたのでは、裏切られる事もありますから、それだけでは継続の動機としては弱いのではなかろうかと思います。

クルージングに面白さを得るには、クルージングに出る事という当たり前の話になります。年に1度で良いのか、2度か、3度か?でも、そうしょっちゅうはなかなか行けないものです。ある方ですが、既に引退されています。その方は、年に一度、ロングクルージングに出られ、出たら、最低でも一ヶ月は戻られません。それで普段は何をされているかというと、デイセーリングとメインテナンスであります。日頃から、メインテナンスを良くされていますから、トラブルは殆ど無い。それに、デイセーリングも楽しまれています。全部、シングルです。おまけに、たまにローカルレースにもでられます。お遊びでと言われます。実に引退後の人生を楽しんでありますね。

継続する為に、いろんな事をする。バリエーションを設ける。そのひとつひとつに面白さを見出す。好奇心が必要かもしれません。でも、全部に面白さを見出す事もなかなかできません。それで、どれかひとつに探究心を持つという事かもしれません。

デイセーリングにおいて、ただのピクニックセーリングだけですと、楽しいですが、それだけですと、継続の力にはならないかもしれません。ですから、セーリングをいかにと求め、それ以外の機会では、ピクニックでも、デートでも、近場へのクルージングでも良い。どこかに追求する気持ちがあればこそ、そこに難しさを発見しますし、それを解き明かす感動もあると思います。それこそが、継続の力と成りえるのではなかろうか?

この難しさをどこに求めても、それは自由だろうと思います。私は、セーリングはいかがといつも言いますが、でも、クルージングに求めても良いし、レースでも良いし、或は、デートセーリングするに、毎回相手を変えるとか、それも難しいですから、それは継続の力になるかもしれません?

結局、ヨットのどこかに、何かを求め、難しさを発見し、それを解明しながら、上達していく。それが継続を促すのではないでしょうか? それで、長く続けてきた結果、何が残るか?味わってきたフィーリングと、上達した自分の腕、気持ちも上達しています。集中力や余裕や、充実感等々、たくさんあると思います。

次へ       目次へ