第六十三話 ガラパゴス

南米の赤道上にあるエクアドルという国にガラパゴスという島があり、そこに居る動物達は独自の進化を遂げた事で有名です。この独自の進化という意味では、日本もそういう感じがします。島国であった為に、外国との接触は少なく、日本は海外からの文化的影響を受けてはいますが、それらをただ受け入れただけでは無く、自分流に昇華して、日本文化として育ててきた。

考えてみましたら、特に海外の地図なんか見ますと、日本はファーイースト。はるか東方の小さな島です。我々が知らないたくさんの島がありますが、西洋にとっては、それらと何ら変わらない。
でも、その小さな島が、独自の高い文化を持ち、経済的には、ついこの間までは、GDP世界第二位でした。資源も無い小さな国が、そこまで行ける。驚異的であります。

小さな島は独自の文化を創り、開国後も、独自性を保ちながら発展していき、それが世界第二位まで発展。今は中国に抜かされましたが。ガラパゴス的発展を遂げた日本は特異性を持ちます。だから、主要国でありながら、欧米先進国の仲間でありながら、やっぱりちょっと違う。欧米から見たら、やっぱり俺達とは違うと感じているでしょうね。

先進国の会議では、写真を見る時、我が大臣様はどこに居るか?端っこだとマスコミは揶揄しますが、そんな事はどうでも良い。日本は違うから、端っこになってしまうのかもしれない。

東北大震災で世界が見た日本は、混乱はあっただろうが、例えば、スーパーで、ここぞとばかり盗んだりする事は無かった。まあ、少しはどこかであったかもしれないが、世界に比べれば、日本人はみんな紳士、淑女であった。それが驚異的だと思うのが海外だそうです。こんな非常時に、そういう事をしないのが日本人。昔からの武士道精神とでも言うんでしょうか。

最近聞いた話ですが、この間、タイで洪水がありました。現地に住んでおられる日本の方から聞いたのですが、震災時の日本を見習えという気運が高まったそうです。

グローバル化という言葉がありますが、何も、日本人の考え方を世界基準に合わせるという事では無く、日本は日本独自の考え方があり、世界は世界の考え方がある。それをまずは互いが理解する事、そのうえで、どうするか?受け入れられないものは受け入れられないし、TPPで完全自由貿易目指すと言っても、土台、ベースが異なる。それは自由とは言わないんじゃないか?完全自由にするなら、国という概念を無くさないと無理が生じるのではないか?全てのルールは思考から生まれ、その思考の仕方が違えばルールも違って当然。完全自由なら、通貨も同じにしないと。
ヨットレースならレーティングを設けるか、ワンデザインにします。

さて、ガラパゴス的独自の発展を遂げた日本。ヨット文化に対しても独自性があります。と言いましても、日本ではまだヨット文化を昇華しきれていない。それはどうやって日本流に遊ぶかという事にまだ模索中という事かもしれません。日本は、西洋文化を取り入れても、そのままで済ます事は無く、自分流にアレンジして使う。そうしないとその文化は定着しません。つまり、日本スタイルを西洋スタイルに変えて、そこに落ち着く感じを得られないのかもしれません。

どういう扱いが良いのかは解りませんが、今のところ、デイセーリングが最も合うのではないかと思っています。それも日本人は本来、繊細ですから、そういうところをいかして。大航海も良いですが、それが仕事なら、日本人はどんどんやるでしょうが、遊びの文化としては、やはり繊細さではないかと思います。俳句、華道、武士道、茶道、いろいろな文化がありますが、精進とか心とか、そういう事を重んじた文化です。今は無くなったかのように思えるところもありますが、そうそう簡単に無くなるものでは無いと思います。

そこで、デイセーリングを中心に、セーリングそのものをいかにと問う。自然の変化を感じ、自分の精進を感じ、遊びには違いないが、そこに快楽だけを楽しむのでは無く、情緒とか、何か違うものがあります。取り敢えず、大航海は置いといて、日本には、セーリングそのものという文化を昇華していければ良いのではないか?それさえあれば、他は派生的に広がるのではないか?

日本人のセーリング。それは、速さだけでは無く、快楽だけでは無く、セーリングから得られる味わいにあるのではないか?なんて、つまらん事を考えてみました。

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