第十二話 ノルディックフォークのマスト 

ノルディックフォークのマストにはスプレッダーがありません。スプレッダーはマストの補強です。このマストは木製です。アルミマストのように中空ではありませんので、スプレッダーの補強は必要ないのかもしれません。強く、でもしなやかで弾力性に富む。造船所はこのスプルースのマストを強く推奨しています。

マストトップから3分の1ぐらいの箇所にジャンパーがあります。前向きにスウィングしたスプレッダーのような物ですが、これはマストベンド量の調整をします。

  
マストトップから3分の1ぐらいの箇所にジャンパーがあります。ワイヤーはマストトップからジャンパーを経由して、マストトップから3分の2ぐらいの位置に来ています。そして、このワイヤーは下方にリードされ、そこでダイヤル式のノブでテンションを簡単に調整できます。

バックステーを引きますと、マストトップは後方に引かれ曲がります。でも、ある程度曲がっていきますと、ジャンパーのワイヤーのテンションが高まり、それ以上曲がらないポイントに来ます。これで、マストベンドの調整ができるようになっています。つまり、これで、マストの上部側3分の2のベンド調整という事になります。

サイドステーはジャンパーの位置から左右に出ており、後はフォアステーとバックステー。
実に簡単です。最先端のラインはジェネカー用のハリヤードです。その手前がフォアステー。

マストはデッキを貫通したスルーデッキですが、アルミマストの様に、雨水がマスト内を通って、キャビンに入ることは当然ありません。ブームの高さ調整もできるようになっており、高さを固定する事もできますし、スライドさせて、下に引く事もできます。これはカニンガムの役目になります。

セールを引き上げるに、ウィンチは全く不要で、手で上がります。そして、そのテンションにもウィンチは不要。ウィンチを使うのは、ジブシート、ジェネカーシート、そして、メインシートはウィンチ不要ですが、一応中央に1個あり、ウィンチハンドルなんかは使わない。システムがとっても面白い。
まさしくセーリングを遊ぶヨット、操作を楽しむヨット、そんな感じです。

発展の歴史は便利になる事、いわば、できるだけ何もしないで良い事かもしれません。しかし、遊びに限っては、その結果をできるだけ簡単に得る事では無く、いかに操作を楽しめるかという事も大事な事。ボタンひとつで、即ゴールでは面白くないわけです。遊びはプロセスを楽しむ事ではないかと思います。そのプロセスが面白いかどうかが重要です。そして、そのプロセスの面白さが、結果を左右するかと思います。

次へ        目次へ