第四十話 良いヨット

良いヨットはどれか?これは良いヨットですか? そういう質問をたまに受ける事がありますが、一般的には、使う目的に合うのが良いヨットと、だいたいみんなそう言います。では、使う目的が解らないと良いヨットも解らない事になります。曖昧な目的なら、ヨットも曖昧になります。

たくさんの使い方がある中で、当社としては、日常にセーリングを楽しむという事を主目的として、それにプラス、たまにクルージングもする。レースを主とは考えていませんし、海外への、はるか海のかなたへのクルージングも考えない。日常に、いかに気楽にセーリングを楽しむ事ができるかを主たるテーマと考えています。そして、たまには近場へのウィークエンドクルージングか、ロングも含めたクルージングです。

セーリングが主たる目的とするなら、セーリング性能が高い方が良いと考えますが、しかし、同時に簡単操作でそれができる事を必要とする。シングルかダブルハンドでセーリングを楽しめる事。それでいて高い帆走性能を得られ、でも、スピードだけでは無く、フィーリングとしてもグッドフィーリングがほしいと考えています。いつも、そういうヨットはどんなヨットかと考えます。

レーサーのスピードとまでは言わ無いが、速さと安定感、バランス、乗り心地、操作性、レスポンス
通常、我々が乗る場合において、そういう事がちょっと意識さえすれば、敏感に感じられるヨット。しんどい思いでは無く、楽に、面白くです。

しかし、その為には何かを犠牲にしなければならない。それが、特大のキャビンを諦めましょうという事です。そこまでは必要ないと割り切る事にしました。それがデイセーラーです。デイセーラーのセーリングはシングルが簡単にできます。しかも、ジブブームがありますから、ジェネカーを使う事無く、ダウンウインドをそのまま走る事ができる。これ程楽なセーリングは他にはないと思います。
そして、このデイセーラーで、ショートクルージング、ウィークエンドクルージングぐらいは楽しめます。

さて、もひとつ考えているのは、ダブルハンドでのセーリングで、クルージングももっと遠くを含む事を考えて、ハイパフォーマンスのクルージング艇です。サイズも大きくなります。その分キャビンも増えますので、ロングクルージングにも十分対応できます。そして、何より日常のセーリングにおいて、最低二人いれば、セーリングを楽しむ事ができる事。それも、高い帆走性能とグッドフィーリングです。

他にも、レース寄りになったり、海外までクルージングに行かれる方もおられるし、セーリングよりも、クルージングを主としたりというコンセプトもあります。別荘的使い方もあります。どこを主たるコンセプトにするかによって、他の事もできますが、主目的は違っていますので、ヨットも違うヨットになります。

どんなヨットでもセーリングを楽しむ事はできます。あるヨットはクルーが必要かもしれませんし、あるヨットはレスポンスが悪いかもしれない。でも、セーリングはできます。ただ、中身の質は違う。そこが良いヨットかどうかの分かれ目かと思います。何が目的であれ、主目的はできるだけ良い中身の質がほしいですが、その他は、多少は劣る。それでも、充分と考えられるなら良いかと思います。

当社としては、セーリングの質を考えます。ですから、キャビンヨット程の居住性はありません。レーサーのスピードには及ばない。でも、別荘的使い方をしないのなら不要だし、大勢のクルーを従える事も無理。それでも、日常に何を楽しむかは、セーリングが一番だろうと思いますので、シングルかダブルでのセーリングを主と考えています。それが当社の言う、良いヨットと考えます。

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