第四十一話 デイセーラーの普及を目指す  

デイセーラーを取り扱うようになって10年以上が経ちます。要約、最近では少しづつ受け入れられるようになってきましたが、当初は全く駄目。問い合わせは当初からかなり頂きましたが、現実には契約に至る事はありませんでした。それでも、何とかしたい。そう思って、続けてきたわけですが、それが要約ポツリポツリ。

最大のネックはキャビンが狭い事と価格であります。大きいのは高い、小さいのは安いというのが常識ですから、小さなキャビンの割には高いというのが、どうも納得頂けない。ですが、舵誌でもデイセーラー特集が組まれたりしたお陰か、キャビンはさほど重要では無いという方が出てこられ、セーリング重視の方向を持つ方がアレリオンを求めて来られました。

そのアレリオンを舵誌にも取材して頂き、本当にわずかなのですが、ポツリポツリと日本でも進水してきています。セーリング重視と言っても、別にレーサーでは無く、従来のクルージングから、もっとセーリングをという考え方です。もちろん、アメリカではアレリオンのクラブが作られ、ワンデザインレースも楽しんでいます。日本はまだまだ先ですが、いつかはと思っています。

ライフラインが無い。そういう事で心配される方もおられますが、全く心配は要りません。必要とも思わない。それより、セーリングの質が違う事に、気分の違いが感じられます。アメリカではシルキースムースという表現をされていますが、私自身も初めて乗った時は、実に滑らかな、と感じました。それに、ちょっと風が増した時に加速して反応するレスポンスも実に心地良い。舵は軽く、強風になっても、それ程重くならない。強風でも、スタビリティーが高いせいで、腰が強く、全く不安も感じられ無い。それに、シングルで簡単に操作ができる。

あるオーナーは初心者が乗るに、操船がし易いので乗り易いし、ベテランが乗るに微妙な操作ができて、その反応もある。初心者とベテランに良いかもね、と評されました。そして、何より、中古として売りに出るのが極めて少ない。出ても非常に高い。アメリカでの人気は抜群なのであります。こんなセーリングが出来るヨットはそうざらには無いと思っています。あらためて、セーリングは面白い、愉快だと感じさせてくれます。

デイセーラーというジャンルのヨットは日本ではマイナー中のもっとマイナーなヨットですが、時代はきっと変わる。そう思っています。何故なら、実際に多くの人達が遊んでいる乗り方はデイセーリングであり、キャビンもそうは使われていない。それにクルー不足の時代でもあります。私がどうこうできるわけではありませんが、時代は徐々に変わりつつあると思っています。もっと、もっと気軽にセーリングをしようと、セーリングの面白さを堪能しようと、そういう人達が増えてくると思っています。何故なら、ヨットのセーリングが面白いなら、それ以上の事は二の次と感じてくるからです。誰でも、シャーと走って気持ちよかったら、そのフィーリングは犠牲にはしたくないもの。外洋の旅に出るなら別ですが、そうで無いなら、セーリングが気軽で、面白くて、そういう感覚は他では味わえない。

結局、何をするにも、どんな味わいを持ち、どんなフィーリングを得たかが重要です。このフィーリング以上に重要な事は無い。そのフィーリングが面白かったら、そこから離れる事は考えられません。デイセーラーは、そんなセールフィーリングを与えてくれます。ですから、何とか、時間がかかっても、日本に広く知って頂きたいと思っています。ただ、乗らなきゃこのフィーリングは伝わりませんので、そこが難しいところですが。どんなに言葉をつくしても伝わらないもどかしさをいつも感じています。でも、滑らかさ、ふっと加速する感じ、何とも言えません。強風での頼もしさ、それでいて、ハンドリングはし易い。

褒めてばかりでは、どうかな?キャビンが狭い事は事実。真っすぐ立つ事ができません。でも、とっても姿は美しい。マニアック? ヨットでセーリングが面白いのがマニアック?まあ、それでも良い。
でかいキャビンは見方を変えればマニアックですね。何にしろ、ある部分を突っ込んでいきますと、それは見方によってはマニアックと言われます。でも、楽しんでいる人達はみんなマニアック。他人をマニアックと呼ぶ人達は、実は心から楽しんでは居ないのではないでしょうか?ヨットにおいて、セーリングが面白い、愉快と感じられるのは、とっても素晴らしい事かと思うのですが。

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