| 新しいセーバー社のセーバースピリットのカタログが来ました。そこには、Bring Back The Feeling と書かれています。我々はいつの間にか、ヨットをセーリングするものから遠ざけてきました。しかし、ヨットは本来セーリングを遊ぶ、セーリングを感じるものです。  Sabre Spirit ３６感じる事を重んじるセーリングをもう 一度取り戻して、ヨット本来のセーリング の感覚を味わおうという事です。セーリングはただの移動ではありません。 レーサーだろうが、クルージング派だろうが、セーリングという感覚はどこにでもあるものではありません。それだけに、この味わいは貴重です。 宴会も良い、ファミリークルージングも良い、ちょっと沿岸の旅もみんなそれなりに楽しいでしょう。しかし、本来のセーリングを感覚として味わう事を忘れてはいけません。これこそが、ヨットそのものだからです。これ無くしては、ヨットを味わったとは言えないと思います。それが昨今のデイセーラーヨットのメッセージです。 キャビン重視型ヨットでは無く、セーリング重視型ヨット、だからと言ってレーサーではありません。イージーハンドリングによって高い帆走性能を誰でも味わえる。高い質のセーリングを味わえる。そういうヨットがデイセーラーのコンセプトです。 こういうヨットはこれまではありませんでした。セーリングはレーサーに任せ、クルージングはキャビン重視型に変貌していきます。そして、いつの間にか、セーリングという最も面白い遊びが、なおざりにされつつあります。アレリオンに始ったこの流れは、他社にも波及し、そして”セーリング”という古くて、新しいジャンルを築いてきました。その全てが示す事は、Bring Back The Feeling という事だろうと思います。感じる事の重要さを説いているものと思います。 キャビン重視になりますと、セーリングが面倒な事のように感じてきます。それは自然とそう慣らされてきているのかもしれません。そこで、こぞってメインファーラーとかに走ります。確かに、操作は楽になった。もっと無いか？オートパイロットは既に設置済み、もっと簡単になる方法はないかと探す。それはもう既に、楽になることを望み、セーリングの感覚を味わおうという気持ちが失われてしまっています。それはいつの間にか、自然にそうなってきている。はたと気が付くと、セーリングを味わっていない事に気づきます。それで良いんでしょうか？セールフィーリングを味わうよりも、いかに楽にと考える。そういう考え方でいきますと、きっとセーリングがないがしろになる。何故なら、セーリングは楽さばかりでは無く、しんどさもあるからです。でも、深い味わいがある。 楽を求めるのは人の常ですが、本来のフィーリングを忘れてはならない。楽を求めつつも、セーリングは犠牲にしない、求めるフィーリングは無くしては、いけないんではないかと思います。全てのクルージングの方に、もう一度セーリングをやってみましょう。あのフィーリングを取り戻しましょう。 エキサイティングなフィーリングを。 昔は何も無い時代。シンプルな時代です。それでも昔の方がみんなセーリングを味わっていました。それが便利な機能を備える道具が開発され、セーリングも便利になってきた。それはそれで悪いどころか、大歓迎なのですが、ところが、知らぬ間に、セーリングスピリットを無くしつつある。便利になればなる程、もっとセーリングを楽に、気軽に楽しめるようになるはずなのに、それが逆になってきた。これはとても不思議な現象です。風の具合に応じて、セールを取り替えていた時代に比べれば、ファーラーになってとっても楽に、オートパイロットで、ひとりでも操船できるようになった。 それは多分、便利さを味わおうとはするが、本来のセーリングのフィーリングを味わおうという意識が薄れてきているのかもしれません。セーリングが今程楽ではなかった時代は、否が応でもセーリングの事を意識せざるを得なかったのが、楽になった分、セーリングの事を考えないで済む。それがもっとフィーリングに向かえば良いのですが、多分、セーリング以外の方に向いてしまうのかもしれません。ですから、そういう時期ですから、こういうデイセーラーなんていうものが生まれてくる。これは必然かもしれません。”Bring Back The Feeling” もう一度、セーリングスピリットを取りもどそうという働きかけではないかという気がします。便利を享受しながら、フィーリングを味わう事ができる時代、本当は素晴らしい時代なのではないかと思います。スピリットさえ無くさなければ。昔に比べれば、遥かに、楽に、少人数でもセーリングを充分に味わう事ができるようになったわけです。こんな良い時代はありません。”Bring Back The Sailing Spirit" |