第三十一話 NEW BOAT

 今年の夏完成する1号艇、これもシングハンド/デイ
 セーラーです。カーボンマストでバックステー無し、大
 きく張り出したメインセールのローチはパワフルです。
 それに対して、ジブは小さく、コンセプト全く変わりませ ん。こういうヨットが続々出てくるのは大歓迎ですね。
 選択の幅が出来てきます。

 このヨットの特徴はウィンチが一切使われていない事
 です。ウィンチを必要とせずに、セールを上げたり、セ ールトリミングができるようになってます。
 セーリング中に操作するシートの出し入れはウィンチ を使わないので、非常にやり易いのと、片手に舵、
 片手にシート、そうやってダイレクトに伝わる感触を
 楽しむ事ができます。これは以前、別なヨットでそうな れば、と感じた事があります。ウィンチに巻いて、ハン ドル回すより、面白い感触を得る事ができます。
 やっぱり同じような事を考える人は居るもんです。そ  れで実行して造ってしまうんですから、さすがはアメリ カですね。

 キャビンも小さいながらあるし、トイレもある。デイセー リングには充分かなと思います。それに対して、コクピ ットは広い。幅は狭いが、縦に長い。これにジェネカー
 があれば完璧です。


今の所、何故かこういうヨットはみんなクラシックな感じですね。ヨーロッパではモダンなデザインのこういうコンセプトのヨットもあるんですが、アメリカはみんなクラシックデザイン。最初のアレリオン28の影響か、或いは、アメリカ人はクラシックが好きなのか。私個人的には好きですね。それに
何十年経っても、古さを感じさせない。最初から古い。こういうヨットがピカピカというのは気分が良いです。

今年の夏はアレリオン33も出てくるし、このヨットも出てきます。33フィートというのは、これまでに無いサイズだったからでしょうか?

とは言っても、欧米でもまだまだキャビンヨット全盛です。その中の一部として、こういうスタイルが増えてきています。何故でしょうか?
昔、ヨットは全て外洋性のあるべきものであるという考え方でした。小さなヨットでも、頑丈だった。しかし、時代は変わり、外洋に行く人は少なかったので、キャビンがでかくなっていった。それにつれて、セーリング自体の面白味は減少していった。それで、セーリングを今一度、という事ではないかと思います。でも、外洋に行く事は無いので、セーリング中心のヨット、それが今のデイセーラーのコンセプトではないかと思います。こういうヨットは、これまでに無い、面白いセーリングのドライブ感をもたらしてくれます。それは車で言う、スポーツカーの存在と同じだと思います。

外洋に行くなら外洋ヨット、キャビンライフならキャビンヨット、レースをするならレーサー、そしてセーリング自体を楽しみたいならセーリングヨット。当たり前の事でしょうね。

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