第三十一話 デイセーラーで遊ぶ

デイセーラーはキャビンをあまり重視していません。例えて言うならワンルームマンションみたいなもんでしょうか。でも、そこに住みつくわけでも無い限り、それでも日常的には困りません。何しろ、キャビ内に居る事はそうは長くありませんし。デイセーリングならそんなもんです。

その代わり、コクピットは広いです。ここがデイセーラーのメインキャビンとでも言える場所です。多くはここで過ごします。セーリング時はもちろんですが、おしゃべりだって、飲み食いだって、キャビンに入るよりも、開放感のあるコクピットの方が良い。こういう時はセーリングしていない時です。
今の暑い夏だったら日陰が欲しい? だったら、ブームの上にカバーをかけて大きな日陰を作っても良いです。

さて、本道はセーリングという事になります。気軽に桟橋から離れてヨットを出す事ができます。これは多分、そのサイズに対するボリューム感から来るかと思います。フリーボードが極めて低いです。それで、気軽に出して、出たらすぐにセールを展開します。

そのデイセーラーがどの程度のポテンシャルがあるかは別にしても、セーリングで走らせる事を楽しみます。セールの角度や形を観察して、風の具合にバランスさせて、如何にベターなセーリングをするかを試行錯誤しながら、そのセーリングの変化を楽しむ事になります。意識がセーリングにあるなら、それを続けるなら、セーリングのいろんな変化を楽しむ事ができます。そこを楽しむのが最も面白いヨットの要素です。

さて、そういう本気なセーリングで楽しむ事もあり、たまには、ゲストを迎えて、楽しいピクニックセーリングもありますし、その他、何でもできます。しかし、その真骨頂は気軽さとシングルハンド仕様にあります。

ハイパフォーマンスのヨットは他にいくらでもあります。硬い船体で滑らかなセーリングは他にもあります。しかし、唯一、デイセーラーはそれらを気軽にシングルハンドでできるという処にあると思います。

これはオートパイロットを使えば、他のヨットだってシングルが可能とか、何とか工夫すればシングルが可能とか、そういう事では無く、最初から、シングルハンドを想定してデザインされ、建造されているという事です。これは他艇にはありません。デッキ上の操船において、そういうアレンジがなされているというだけでは無く、スタビリティーも寄与しています。そのうえで、セーリングパフォーマンスを高め、硬い船体を造っています。

デイセーラーのセーリングは何人で乗っても構わないのですが、その真骨頂はシングルハンドにあります。ですから、是非、シングルを楽しんでいただきたいと思います。シングルであればこそ、どういうセーリングを、その時にするかは自分で決める事ができます。誰に気を使う事もありません。
ですから、セーリングを堪能するには、シングルが最も良いかと思います。二人居ないと、三人居ないと、そういう状況をつくってしまうと、限定されます。それで無くても、毎日乗る事はないでしょうから。

仕事引退したら、週に何回か乗れるチャンスを創れます。昔、毎日来てた人が居ました。毎日です。そこまでは言いませんが、2回に1回ぐらいはシングルを楽しみ、他は、ゲストを招くとか、意識的に振り分けてセーリングライフを創ってはどうでしょうか? それこそセーリングが本当に面白くなったら、しょっちゅう乗りたくなるだろうし、しかも、シングルになるかな。

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