第十九話 コンセプト

ヨットにはそれぞれコンセプトがあります。造船所が建造するにあたっての思いがあり、どういうオーナー向けに造ったかというのがあります。それで、使う側は、自分の使い方はどうかという疑問がわいて、自分のコンセプトは何だろう? という事になりますが、業者はどういう使い方をされますか? そういう質問をしたりします。

しかし、自分に向いている乗り方なんて、そうそう明確ではありません。そもそも、100かゼロかである事も無く、今楽しんでいる事も、ひょっとしたら60%ぐらいで、他に、70や80%ぐらい自分に向いている乗り方があるかもしれません。でも、そんな事はいくら考えても解りません。

それで、そんな事を考えるより、今、興味がある事を自分のコンセプトとして、それを主軸にヨット運営を創ってしまう。それを思う存分楽しむ方向に向かいます。全く向かない事は無い。しかし、どの程度向いているかも解りません。でも、今、興味があるなら、それで良い。

何が自分に向いているかを考えるより、自分で自分のコンセプトを決めてしまう。それに向かって楽しんでいきます。もし、この先、別な興味が涌いたら。今度はそのコンセプトに向かえば良い。それだけの事です。そのコンセプトを変えても、今あるヨットでできる事もありますし、場合によっては買い替えた方が良い場合もあります。でも、多くの方々は、何回かは買い換えられますから、コンセプトチェンジで買い換えるという意識を持っていれば良いのではないでしょうか?決して失敗では無いと思います。ヨットは使えば使う程、ヨットを知れば知る程、自分のコンセプトがより明確になっていきます。

最初は沿岸クルージング艇で始められる方が多いです。それで、そのヨットでできる事をやれば良いし、ただ、問題は、いつか、そのヨットでやれる事と自分のコンセプトがずれてきた時に、その事に気づかないと言いますか、気づいていても無視か、何とかしようという意識が無いのか、どんどん使わずに置きっぱなしになっていく事かと思います。もし、そうなら、変えれば良いかと思います。もし、変える事ができないなら、その今あるヨットでどうにかできないかと考えます。兎に角、ほったらかして良い事は何も無い。もし、ヨットに興味が無くなってしまったのなら、売ってしまえば良い。

兎に角、自分の興味とか、ヨットとか、コンセプトとか、そういう事をちゃんと意識して、その変化に気づいて、意識的に行動する事が必要なのではないかと思います。

クルージング艇でヨット始めて、セーリングに目覚め、レースに目覚める方もおられます。そうなると、もっと速いヨットが欲しいと思い始めます。或は、外洋へクルージングに行きたいと思う方もおられます。何が面白いのかは、実際にやってみないと解りません。想像と現実は違う事も多いですから。

それで、兎に角、行動する事が大切で、いつまで考えていても答えは出ない。答えが出ても正解かどうかは解らない。100%の正解を見つける必要は無いし、まあ、50%以上なら良しと思うぐらいで良いんではないかと思います。そして、乗り続ける事で、確立の高い自分の乗り方が解ってくるかと思います。ひょっとしたら、最初の一艇が大正解かもしれません。

デイセーラーはだいたいですが、いろんなヨットに乗ったり、いろんな経験をしてきた方々が最後に選択されるケースが多いです。セーリングを純粋に味わおうというスタイルです。ですから、余計なモノは必要無い、セーリングこそという感じです。でも、思う事はそのデイセーラーのコンセプトからして、気軽ですし、近場狙いですし、その操作性の良さ、セーリングはヨットにとって最大の重要コンセプトだと思いますので、最初の選択であっても良いかと思います。

初心者にとって、最も乗りやすいヨットであり、しかも、セーリングを満喫できます。そして、最後の選択として、ベテランになった時、セーリングに関してはベテランのセーリングにも対応しています。
ですから、最初はデイセーラーから入って、最後はデイセーラーで終わる。そういう事がおおいに有り得るかと思います。ただ、現実的には、最初はセーリングよりもキャビンに惹かれます。それはそれでも良いかとは思います。そのキャビンをおおいに使ってもみれば良いかと思います。最も良くないのは、使わない事では無いでしょうか? これは大失敗ではないでしょうか?いくら何でも使わないというコンセプトは有り得ないでしょう。

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