第二十話 何故、デイセーラー?

セーリングそのものを楽しむ事が第一の目的とするなら、デイセーラーが最適だと思っています。
その理由はいくつかあります。第一に、シングルハンド仕様である事。これはシングルハンドも可能というのでは無く、シングルハンド仕様になっているという事です。全然違うものです。

シングルですから、クルーが居ても居なくても、未経験のゲストを招待しても、どうにでもなります。もちろん、シングルでセーリングが堪能できます。

そのシングルを可能にするのは、デッキ上のアレンジメント、それだけではありません。低い重心です。船体自体の重心が極めて低いうえに、さらに重いバラストが設置してあります。バラスト比は艇によって異なりますが、だいたい40%前後、高いのでは50%前後あります。この安定性がシングルには助かります。

次に、船体の硬さです。セーリングをしますと、ものすごいストレスがヨットにかかります。風もあれば、波もあります。そのものすごいプレッシャーの中で、より良いフィーリングを得るには、船体が強固でなければなりません。船体がぐにゃぐにゃ曲がったのでは、フィーリングが損なわれます。
滑らかなセーリングを感じるには、硬い船体が必要です。

しかし、強固な船体を造る為に、重い船体になったのではセーリングパフォーマンスが悪くなる。よって、程度問題もありますが軽く、でも、強くです。それがデイセーラーであります。同時にバラストは重くですから、船体の建造がいかに難しい事であるかが想像できます。

この様に、セーリングの大胆さから妙に至るまでを、シングルで、容易な操作で、高いパフォーマンスを味わう事を目的としたヨットは他にはありません。だから、セーリングを堪能するのには最適なヨットだと御勧めしております。

そのデイセーラーで、クルージングもできます。ただ、キャビンが同サイズのクルージング艇に比べたら狭い。ですからウィークエンド程度のクルージングとしていますが、でも、それさえ厭わないのであれば、ヨットとしてはロングもできます。ホテルに泊まっても良い。それに、今夏、サンフランシスコから横浜まで、デイセーラーがノンストップでやってきました。デイセーラーだってこんな事もできるのです。しかし、それを目指したヨットではありませんので御勧めはしませんが。

ピクニックはもちろん、レースやっても良い。デイセーラーの中にもいろんなパフォーマンスを持つバリエーションがあります。レーサーの如き性能を持つデイセーラーだってあります。しかし、何故、敢えて、デイセーラー仕様とするのか? それは、レースだけを楽しむのでは無く、レース以外では、シングルやゲストとセーリングを楽しむ為です。だから、そういう超ハイパフォーマンスデイセーラーだって、シングルハンド仕様なのです。

デイセーラーはセーリングそのものを楽しむ事を第一の目的としてデザインされ、建造されたヨットです。だから、デイセーリングを堪能するに、最適なヨットなのです。

そうは言っても割り切れませんか?

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