第十八話 ポイント的セーリング

これまで書いてきましたセーリングを一通りやるには、どれぐらいの期間が必要でしょうか? ひとつひとつにたっぷりの時間をかけて良いと思います。例え、上り一辺倒に集中していたとしても、必然的に他のセーリングもする事になります。ただ、集中するテーマを設けているだけなので、セーリング全体を遊んでいる事には違いありません。でも、このポイント的集中セーリングをする事で、そのポイントでは、レベルが上がります。しかし、そのポイントのみならず、全体にも影響は出てくるはずです。

デイセーリングとしての短いセーリングですと、比較的に、集中できるかと思います。しかし、さらに、それを強調するように、その中のひとつに特に集中度を増して、それだけでも、他はどうでも良いぐらいに集中してやりますと、さらに短い時間ながら、密度の濃いセーリングを体験できるのではないかと思います。セーリングをちゃんと味わおうと思ったら、かなり難しい。しかし、細かく分けて考え、ポイント的集中によってひとつひとつをマスターしていくと、やり易いのではないかと思います。

そのひとつの走りでさえも、レベルが上がったら、今までには気づかなかった事にも気づくようになりますし、全体が解ってきたら、全体のセーリングを創造する事もできる。上手くなって悪い事は何もありません。時間はあるわけですから、何ヶ月かかっても、何年かかっても構わない。しかし、これらを一周したからと言って、それで終わるわけでも無く、上手くなれば、上手くなった時点での次のレベルも見えてくる。上手くなれば、より繊細な事が解るようになり、それはキリが無いですから。でも、高いレベルの事が解るという事は面白さでもあります。

ヨットライフの中に、ひとつ主軸を持って、短い時間でも実行する事で、そこに習熟していきますと、やりがいも出てくるかと思います。何しろ、自分で上手くなっているのが解るからです。面白くなります。そうなると、ピクニックセーリングだって、余裕であり、その余裕で、ゲストをもっと楽しませてあげる事ができます。また、ピクニックセーリングに対する感覚も、以前とは違うようになるかと思います。

何かひとつの事に精通する。それはそこだけに留まらず、ヨットライフ全体に充実感をもたらしてくれるのではないかと思います。それはセーリングに限るわけでもありませんが、デイセーリングは、目の前の海域で、すぐに誰でも、短時間でできる。そのセーリングの深さにおいては、別に遠くに行っても、近くでも同じであります。気軽にいつでもできるというメリットは大きいと思います。

ヨットは遊びとして始めるものです。遊びだからどうでも良い、適当でも良い。しかし、そこに集中してできる何かがあれば、その遊びは遊びであっても、相当高い充実感をもたらしてくれるのではないでしょうか?

享楽的な遊びから集中した面白さの追求までの遊びを、全部味わう事ができます。でも、単なる快楽的遊びよりも、面白さを得る遊びを得る方が、遥かに充実感をもたらしてくれるのではないでしょうか?

次へ      目次へ