第十四話 主軸を持つ

ヨットと長く付き合っていきますと、自分の本当の使い方というのが解ってきます。最初は皆さんと同じスタイルになります。無難ですから。でも、みんながみんなそれで満足というわけには行きません。年齢もあります。仕事の関係からの時間の取り方もあります。それぞれの環境も違えば、好みも違う。ですから、ヨットの使い方も違うはずです。

でも、初心者の方でも、簡単に想像できるヨットライフというのがあって、それが沿岸クルージングとそのヨットのキャビンの居住性になるようです。ですから、そういう沿岸クルージング艇が主流になっていきます。

その中の一部の方は、自分の経験を通じて、自分の使い方を見つけ出されます。ある人は外洋クルージング艇に行かれるし、また、ある方はレース艇に行かれる。そして、またある方はデイセーリングをもっと求めます。

これらは実際に使い続けない事には、自分の使い方が解りません。他人はどうであれ、自分はどうなのか?いろいろある使い方の中で、どれが自分のスタイルなのか? それを見つける事は最も重要です。ヨットは安いものでもないし、維持費もかかります。どうでも良いものでもありません。できれば、自分のスタイル、自分の価値観を認識して求める事が、遊びそのものかもしれません。
遊びだからこそ我儘になっても、誰にも迷惑をかけませんし、自分も満足できますね。

好みの問題ですから、キャビンを追求しても良いんです。でも、そこに変化とか成長とかあった方が長く面白さを味わえますから、そのキャビンをどう使うかを考えなければなりません。別荘で無くても、書斎として、使っても良い。そこで、普段読めない本を読むとか、何か違う趣味に没頭するとか? 部屋として見れば、そこで自由に使えます。そういう場合、セーリングはたまのピクニックになるでしょう。でも、何か軸になるものがひとつあって、それを堪能していれば、それで良いかと思います。

要は、軸をひとつ設定する事だろうと思います。ヨットでできる事は何でも良いんですが、自分が心から楽しめる何かをひとつ軸として意識して、それを中心に運営を考えます。軸さえ楽しんでいるのなら、その他の行為は、時々のアクセントとして楽しむ事もできます。あれもこれもと考えるより、軸をひとつ、最重要課題として考えた方が良いのではないでしょうか?あれも、これもは、結構メリハリが無くなって、どれもイマイチになりはしないか?

当然ならが、私の御勧めはデイセーリングです。ウィークエンドのクルージングをするも、ピクニックをするも、たまにレースに出るも、キャビンで昼寝するも、コクピットで宴会するも、いろんな事をしますが、でも、中心軸はデイセーリングです。しかも、シングルハンドによるセーリングの探求であります。もっと上手くなって、もっと自由を感じたいわけであります。

他人は他人、意見は違います。自分が第一に楽しめなくて、ピクニックをしてゲストが楽しめるか?
オーナーが普段楽しんでいるからこそ、ゲストだって、一緒に乗ればオーナーは楽しませてくれます。楽しみ方、遊び方を知っているからですね。

次へ      目次へ