第十三話 デザイン

各人各様の好みというのがあります。モダンなデザイン、クラシック、トラディショナル等々、その各デザインも少しづつ違います。 ヨットとしてセーリングの性能は重要な要素です。排水量やバラスト重量、セール面積、船体の硬さ、船底形状、キールの形状、深さ、艤装、デッキアレンジメント、重要な事はたくさんあります。しかし、もうひとつ重要な要素はデザイン、それも見た目のデザインです。

遊びですから、性能さえ良ければそれでいいというわけには行きません。それで仕事でもしようというなら、性能一辺倒で、見た目なんか気にしている場合では無いかもしれません。しかし、ヨットは遊びですし、見た目のデザインというのも、遊びだからこそ大きな要素だろうと思います。

モダンかクラシックか?お好み次第ですが、どちらにしても、美しいヨットが良いですね。難しいデザインの事は解らないにしても、見て、美しく感じるものは、だいたい良いヨットだろうと思います。
全体のバランスが良いヨットは美しく感じます。極端にどこかが大きいとか、ずんぐりむっくりとか、、そういうのはあまり美しくない。

多少のやせ我慢というのもありますが、美しいと感じるヨットで、仮に天井が低いとか、そういう事があっても、その美しさを優先したい。個人的にはそう思っています。ある造船所の話ですが、天井が少し低かった。それで、造船所にもう少し天井が高くできないか? するはずもないのですが、そういう質問をした事があります。そうしますと、天井をこれ以上高くすると、美しくないという返事が返ってきました。なる程。納得させられてしまいました。

機能や操作性や、性能等々を良く検討されて、あるコンセプトを創りだされたヨットというのは、やはり美しい。モダンだろうが、クラシックだろうが、やっぱり美しさを感じます。やせ我慢と言われようが、何と言われようが、個人的には美しいヨットに乗りたいと思います。

性能は高ければ良いというものでも無いと思います。自分の求めるコンセプトで無ければなりません。本来、性能とはいろんな要素を含んでいますが、ここでは、スピードという性能として、速ければ良いわけじゃない。自分の求めるコンセプトでなければならないという意味です。

スピード以外の要素としてのデザインの美しさ。遊びにおいては重要な要素だと思っています。所謂、美人ですね。美人の好みそれぞれですが、でも、自分が思う美人に惹かれます。重要な要素です。個人的好みを言えば、やっぱり少しクラシック、トラディショナルとでも言いましょうか、適度にチークをあしらった、ちょっとだけオールドスタイルのヨットに惹かれます。何十年経っても飽きが来ないし、美しさも衰えない(これはメインテナンス次第ですが)。本物のクラシック系デザインよりも、スポーティーだし、品があります。

こういうデザインは、近年非常に多く、特にスーパーヨットの世界でも少なくありません。見ためは少しクラシックでも、走りはモダンデザイン。ですから、セーリングも面白いものがあります。スターンの絞りや、前後のオーバーハングで水線長は少し短くなりますが、でも、その美しさの方に惹かれます。

デイセーラーのモダンデザインでは、まさしくスポーツカー的です。これも美しい。機能美という感じもします。好みに理屈はありません。直感的に気に入ったヨットが良いヨット。そう思います。

次へ      目次へ