第九十二話 デイセーラーの研究

デイセーラーはセーリングを楽しむ為にある。エアコンの効いた大きなキャビンよりも、セーリングの方が面白い。これが、デイセーラーの基本コンセプトです。この基本コンセプトが合わないと、デイセーラーを楽しむ事はできないかもしれません。

セーリングを楽しむという事は、自分の意識がセーリングにあるという事です。セーリングに意識があれば、より多くの事をセーリングに見出す事ができるようになります。それが普通になる。より多くの事、それはスピードもそうだろうし、あらゆる動き、フィーリングが含まれるようになる。それはセーリングに質を問う事にもなります。

あらゆる楽器がそうであるように、ヨットにも価格差が大きい。見た目は同じ様に見えても、質は違う。安い中国製の楽器が2、3万であるとしたら、その10倍、100倍、1、000倍もする同じ楽器がある。その違いは質、それも微妙な質にある。始めての方にはその違いは殆ど解らないかもしれないが、知れば知る程にその違いは増幅されていく。その違いに価値観を見出すかどうか

ヨットには楽器程の価格の違いはありません。あってもせいぜい2〜3倍程度。元々の価格が大きいので、その差は大きいとは言えるものの、10倍なんてのは無い。こちらも、初めての方には違いは解らないだろうが、知れば知る程に、やはり質感が増幅されていく。知ってしまうと、やはり良いヨットは違う。

キャビンの広さよりも、セーリングに質を求めると、どうしても価格が高くなる。楽器の音色や響きに可能性を求めるのと同じです。何故なら、セーリングの質は、そのヨットの造りの質そのものだから。キャビンが広いから高価になるわけじゃ無い。むしろ、セーリングを求めた方がコストがかかる。だから、デイセーラーはちょっと高い。と言っても、一般の量産沿岸用クルージング艇が主流である限り、それら以外はみんなそれより高くなります。

せっかくのデイセーラー、その質を問うセーリングを楽しみたい。量より質なのであります。遠くに行かない代わりに、セーリングそのものを楽しみたい。それで、デイセーラーの特徴を踏まえたセーリングを研究してみたい。それは一般ヨットとはちょっと違う。

大勢で走るレーサーでは無いし、コクピットでゆったり過ごすクルージング艇でも無い。デイセーラーのセーリングは、セーリングそのものを楽しむ為にある。それは、セーリングの世界を手に入れるという事になります。キャビンは日常の陸上生活に近いものがあります。しかし、セーリングは全く別の世界です。できれば上質の世界を味わいたいと思います。

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