第六十五話 オートパイロットの活用

オートパイロットはできるだけ使わないとか言ってきました。でも、もし、せっかくあるなら、それを積極的に使って何かできないか? オートパイロットはセットした方向にひたすらまっすぐ走ります。
飯も食わないし、文句も言わない。

それで、ある方向に走りながらオートパイロットのAUTOスイッチをONにすると、そのままのコースをひたすらキープし続けます。それじゃあ、舵をオーパイに任せて、ひたすらセール調整に励んでみる。舵は気にしなくて良いので、その分、細かい調整までやってみると、何かと勉強になるかもしれません。

セールの角度と形状に注意しながら、シートだけでは無く、トラベラー、バング、カニンガム、バックステーアジャスター、アウトホールと全部を使って適切なポイントを探る。風向も変われば風速も変わりますから、出したり、引いたりして、いろいろ試してみるのも良いかもしれません。

また、オートパイロットにはウィンドモードというのがあります。もし、風向風速計と連動できるなら、見かけの風向に対する角度に追随するオート設定があります。風向が変われば、それに追随してオーパイが舵を調整します。従って、ヨットから見た見かけの風向は常に一定になりますので、風速変化に対するセール形状の調整という走り方になります。

前者はフリーの走り方で、目的方向を直接ストレートに狙える走り方になります。コンパスのコースキープです。それに対して、後者は上りの時と同じで、風向変化に追随する。目的ポイントは直接は狙えないので、近づく為の角度稼ぎの走り方と同じになります。また、上りでは、これに慣れてきたら、風向が変わって、タックした方が目的ポイントに近づくには有利と判断したらタックをする。そういう風向変化も観察できるようになれば良いと思います。また、ウェザーヘルムが強くなったとかが解らないので、風が強い時には注意が必要かもしれません。

下りの場合、あまり角度を落としますと、状況によっては、波で瞬間的に方向が変わって、ワイルドジャイブの危険性がありますから、あまり落として走らない方が良いと思います。人間が舵を持って反応するようには行きませんので。

舵をオートパイロットに任せる事で、舵から伝わるフィーリングは無くなりますが、自由に動けるようにもなりますから、セール調整の練習には良いかもしれません。ただ、上りで走るか、フリーなのか、意識したうえでオート設定をして、自分の走りを常に理解しておく事も必要かと思います。

もちろん、最終的には、自分で舵を握って、練習した事全部を自分ひとりで行います。その方が実際は面白いですから。デイセーラーの場合、ジブはほどほどにしても、大きなメインセールを中心に、できれば細かくでも調整して楽しんでも良いのではなかろうか?もちろん、スピード計もあった方が面白い。それもいろんな目安にもなります。

オートパイロットは舵を任せられるので楽ができるというのもあるんですが、逆に、このように積極的に使って、セール調整に集中して練習する事ができる。そういう風に見直してみました。物は何でも考え方、使いよう次第ですね。

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