第六十三話 世界の造船所

世界中には大小様々な造船所がたくさんありますが、ある登録を見ますと1、187社ありました。これはボート、ヨットの両方を含んでいますが、その内、ヨットの造船所は209社でした。もちろん、これでも世界中全部の造船所を網羅しているわけでは無いと思いますが、ヨットは全体の2割弱です。

実際に進水しているボートとヨットの割合は、ボートの方がもっと多いのではないかと思います。という事は少量生産のヨット造船所が結構あるようです。聞いた事も無い造船所が世界にはたくさんあります。

そのヨット造船所の中で、デイセーラーを建造している造船所は、すぐに思い浮かべられるだけでも20数社あります。恐らくもっとあると思います。デイセーラー専門の造船所もありますし、通常のラインアップに、だいたい30フィート前後のサイズのデイセーラーを加えたりしています。昨今のデイセーラーの増加傾向を見て、まずひとつ導入し、それからモデルを増やしていくやり方です。量産艇の造船所には無いですね、そういうのは。多分、彼らの最大の顧客はチャータービジネスですので、デイセーラーがチャーターに組み込まれる様になりますと、量産造船所も考えるかもしれませんね。一方、少量生産の造船所の顧客は個人になります。という事は個人の方のデイセーラーへの移行が増えてきていると見て良いかと思います。

ヨットをどう見るか? 別荘と旅で見るか、セーリングで見るか? かつては圧倒的に旅というより別荘的使い方が多かったと思います。アメリカ最大のマリーナであるマリナデルレイに行きますと、
ここでも動かないヨットがたくさんあります。でも、人はうじゃうじゃ。それが、徐々に、気軽なセーリング志向が増えてきている。

レースをしない人にとって、セーリングは容易であり、安全であり、尚且気軽でなければなりません。かつてのヨットとは違い、今日ではそれが可能となり、しかも、ハイパフォーマンスです。大きなヨットを動かすのは容易ではありません。それがいろんなパワーアシストを駆使されていてもです。理屈は簡単ですが、気軽では無いのです。そこをカバーしてきたのが今日のデイセーラーだろうと思います。

そのデイセーラーが欧米で定着するようになって、さらに進化を遂げます。ひとつは、デイセーリング+クルージング機能、もちろん、既存のクルージング艇程のでかいキャビンを望んでいるわけでは無く、それまでのデイセーラーが持つキャビンを少し拡大するような感じです。それともうひとつは、ハイパフォーマンス化が進んでいます。カーボンマストを使い、スクウェアートップメインを採用したり、ハイテク技術によって、船体の軽量化も進んでいます。

恐らく、今後においては、既存のクルージング艇の方向は従来の別荘的使い方+遠方の旅、そしてセーリング+近場の旅はデイセーラーの発展型、或はセーリング主体のデイセーラーと分かれていくのかもしれません。日本におけるヨットを考えますと、圧倒的にデイセーリングと近場のクルージングではないかと思いますので、本当はデイセーラーの方があっていると思うのですが?
キャンピングカーよりスポーツカーの方が合ってると思う次第です。

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