第四十五話 スピードを求めたデイセーラー

前話のサイズアップによるデイセーラーの展開とは別に、異なる方向性、スピードを求めたデイセーラーも数多く生まれてきています。特に、ヨーロッパにそういうタイプが多い様です。

        

イタリアのディナミカ940です。コンセプトはもちろんシングルハンドデイセーリングです。ただ、違うのは、スピードです。船体は非常に軽く2、200KG、それに対して吃水は2.1mでバラストは1、170KGです。排水量の半分はバラスト重量です。セールは通常の三角形のセールの他、スクウェアートップにする事もできます。そして、キャビン内はいたってシンプル。

高速を可能にするデイセーラーですから、ヨーロッパでは当然ながらレースも考慮されます。いわゆるワンデザインレースとかですね。それで、普段は家族やシングルでのデイセーリングを楽しむ事ができます。造船所曰く、レースの時は3人位、デイセーリングの時はシングルでと言います。

つまり、デイセーラーは30フィート前後から始まって、サイズアップしていくタイプとスピードアップしていくタイプの二つの流れがあります。どちらを好むかはお好み次第。普段の自分のセーリングをどこまでスポーツ化するかに寄ると思います。スポーツカーだっていろいろありますから。

ところで、実はもうひとつのデイセーラーのアプローチもあります。これは日本では受け入れられる可能性は低いと思いますが、欧米ではこういうこだわりも、まだ数は多くはありませんが、少しづつ出てきています。それは徹底したデイセーリングです。

   サイズアップしたデイセーラーがキャビン
   が大きくなるわけですが、このヨットはその
   対極にあり、32フィートありながら、一切
   キャビンはありません。完全にセーリング
   オンリーなのです。

   前後に設けられた大きなオーバーハング
   が可能なのも、キャビンが無い事で可能
   になります。

   デイセーリング+この美しいデザインに
   こだわったのかもしれません。前話の
   イーグル44的なスタイル。同じ匂いがし
   ます。系統的には同じアプローチと言える
   かとは思います。

   スピード性能で言えば、ディナミカ940程
   のスピードは狙っていませんが、そこそこ
   のスポーツ性能を持たせています。
   セール面積/排水量比で約23ありますか
   ら、セーリングを堪能するには十分では
   ないでしょうか。

次へ       目次へ