第二十九話 ゲスト

シングルハンドといえども、たまにはゲストを招きます。是非そうして頂きたいです。そして、セーリングの面白さを分けてあげたい。楽しんで頂きたい。知って頂きたい。そのゲストが、いつか独立してセーリングを楽しむようになって頂ければ最高です。

それは兎も角、ゲストは未経験者。ヨット体験無し。そうなると、クルーにはなりません。係船ロープ一本引くにも要領がありますから。でも、シングルハンドなら大丈夫。普段通りの操作ができます。これがシングルの強みですね。

ゲストが居る時は完全ピクニック、オーナーはゲストをもてなす必要があります。軽妙なおしゃべりとか、お弁当とか、音楽流すとか、いろいろです。ほっとくわけには行きません。せっかくですから、楽しんで頂かないと。

ただ、いくらゲストとはいえ、いくらおしゃべり上手とはいえ、やっぱり、ちょっとセーリングの楽しさを味わって頂きたい。普段シングルで遊んでいる何分の一かでも、セーリングの面白さを味あわせてあげたい。それはおとなしく、おとなしくと走らせるよりも、風があれば、そこそこきっちり走らせた方が良い。ヒールしたって構わない。返って、その方がゲストは楽しめる。ピクニックをちょっと越えてみる。

ゲストは何を期待してヨットに乗ろうと思ったのか? もし、自分がゲストだったら何を期待するだろう? 海は良い、ヨットも良い、それだけでも未体験の世界、エキゾチックな世界です。でも、それだけで十分なのは最初だけ、30分もしたら、その後はどういう体験が待っているのだろう?

最初の30分で、おしゃべりと軽い食事を済ませ、それからセーリングモードに入っていく。スプレーも少しは浴びるかもしれない。そんなエキサイティングな体験ができる。もちろん、まだまだピクニックモードです。そんな細かい操作までする必要は無いかもしれないが、でも、ゲストをおもてなしする最高のセーリングは、思いっきりヒールさせても良いのではなかろうか?もし、十分な風があるなら。オーバーヒールはいけませんが。

それで、ゲストは少しは恐怖を感じるかもしれない。しかし、オーナーはニコニコ。それで安心するはずです。オーナーには余裕が見えます。こんなのは序の口。しようと思えばもっといける。それを自由自在にこなしている。セーリングは優雅にもなるし、エキサイティングにもなる。その方がゲストにとっても面白い。

ゲストは何も知りません。でも、信頼できるオーナーと一緒なので安心できます。その安心の中で、エキサイティングな体験ができる。それが面白さなのだろうと思います。そういう体験をしたゲストは、多分、また来るでしょうね。家に帰って、ベッドに入ると、その体験が蘇る。怖かったとかもあるだろうが、ちゃんと無事に帰ってきた。オーナーはニコニコと余裕みたいだったし、これがセーリングの面白さなんだと少しは理解できる。怖かったけど、また乗りたいな〜と思う?

ゲストが二度目だったら、今度は舵を持たせる。舵を持つのは結構みんな楽しいかと思います。それで、オーナーはクルーになって、楽に舵が取れるようにしてあげる。ブローが来たら、すぐさま風を逃がしたり、いろいろです。そうやって、ゲストに三度目のチャンスを与える。

そうやって、少しづつヨットの世界に引きずり込んで、蟻地獄のように出れないように、虜にしてしまう? いえいえ、お誘いであります。ひとりでも多く楽しんで頂ければ良い。もし、このゲストがいつかクルーになったら、たまに来る時は今度はシングルでは味わえない、コンビネーションのセーリングも楽しめるようになります。自分の為、そのゲストの為、両方の為でありますね。これで、新たなヨットマン又はヨットガール、一丁上がり。

まあ、このヨットの世界、男ばっかりで花が無い。だから、女性をもっと増やしたい。安倍総理も、これからは女性の力を活用すると言われています。ですから、ヨット界にも女性をもっと増やしたい。クルーのみならず、オーナーにもなる女性が現れて欲しいもんです。待ってます。女性が増えてきたら、間違いなくヨット界は盛り上がる。ですから、ゲスト招待するなら、できるだけ女性を優先して下さいね。

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