第七十八話 セーリング考

意識的なセーリングをしていますと、自分がどんなセーリングを望んでいるかが明確に解ります。
そして、もし、そこに強い欲望が生まれたとしたら、セーリング以外の事が薄れていく。逆も同じで、心がキャビンにあれば、キャビン重視になるし、そうなるとセーリングは薄れます。どちらかが重視されて、両方均等という事は無いんじゃないかな〜と思います。本当にそこを楽しんでいるのであれば。

そこで、当社はセーリング重視が基本ですから、セーリングについてあれこれ考えます。だからと言って、キャビンはどうでも良いというわけではありません。天秤にかけたら、セーリングの方が重いというだけであります。

我々一般のセーリングでは、速ければ速い程良いとは思いません。8ノット、9ノット出れば、かなりの満足感を得られます。でも、問題は強風の時よりも、微軽風の時ではないかと思います。強風はリーフで対応できる。或は、恐怖を感じるようなら、セーリングを中止する事だってできる。でも、微軽風の場合、全く吹かないなら別ですが、多少の風はあるが弱いという場合、諦める事もできますが、何とかした方がセーリングの幅ができて面白くなる。

微軽風用のセールを展開するのが良い方法だと思います。そんなに面倒くさがらないで。或は、とっても軽いヨットにする方法もある。しかしながら、そうすると、風が強くなるに従ってスピードも出るだろうが、速すぎて、コントロールがシングルでは難しくなるかもしれない。それで、そこの処を考えておく必要はある。だから、速いのは面白いが、速すぎるのは大変になる。

理想的には、メインとセルフタッキングジブ、これにコードゼロとジェネカーの4枚のセールを自由自在に展開できたら良い。しかし、シングルを考えると、コードゼロとジェネカーを合体した様な、微軽風用セールが良いんじゃなかろうかと思っています。腕に自信があって、労力を惜しまない方は、是非、4枚セールをやっていただきたい。

ジェネカーもコードゼロも展開していない時はデッキに寝かせておくという方法もある。これは、イタリアから聞いた、彼らのレース中のやり方だそうです。必要に応じて、ジブとコードゼロとジェネカーを使い分けるそうです。両方ともファーラーにすれば、腕のあるシングルはやってしまうかもしれませんね。4枚セールを。

でも、シングルだったら3枚セールでも十分面白いと思います。何といても微軽風に対応できます。
これで、上りもアビームも、そしてある程度の下りにも使える。そう言えば、この微軽風用セールを使った観音開きというのをやった事がありません。さて、どうでしょうか?これができれば、下りの角度を落とせます。

それで、当社のお薦めとしては、シングルハンド前提として、速すぎない、軽すぎないヨットに、微軽風用セールを加えた3枚であります。これ以上はオーナー次第であります。それで、軽すぎないというのは、あくまで排水量に対するセールエリアの関係における重さ、軽さの事です。これに、十分にスタビリティーがあれば、かなり面白いセーリングを堪能できる。それに強風にも強くなる。

アレリオン28はこのセールエリア/排水量比が18ぐらいなのですが、当時は良かったのですが、今日では微風ではちょっと重めに感じる方もおられるかもしれません。でも、これも微軽風用セールを使えば、18が一挙に跳ね上がる。実に面白い。そして、アレリオン33スポーツはこの数値が約25になります。こうなると、微軽風でもそこそこ走ってくれますから、微軽風用セールでも良いが、3枚となると、やっぱりジェネカーにした方が良いかなと思います。そうすると、ダウンウィンドがもっと稼げるようになります。この違いは、何しろ、メインセールがでかい。バックステーの縛りを受けていませんから、微軽風でも走ります。

という事で、シングルハンドでセーリングを堪能するに、数値18から25という事に修正しておきます。18なら、微軽風用セール、25ならジェネカー、その間は、まあ、試行錯誤で答えを出してほしいですね。自分に合った感じを。ジブとメインだけで、どの程度の微軽風で、どの程度走れるかの個人的感覚次第という事になります。自分の感覚が重要だと思います。

ここでもうひとつ。セール面積/排水量比を考えるにあたり、例えば、同じ18という数値を得た2艇のヨットがあるとして、比較としては同じ数値なのですが、絶対排水量が軽い方が、同じ数値なら、セールが小さくなるというのは当然です。排水量が軽い分、セールは小さくても同じ18という数値が得られる。という事はそれだけ操作は楽になります。排水量が重ければ、それだけセールはでかくなる。だから大変になるかも? それでも、パフォーマンスは同じ。という事は軽い方が良いという理屈が成り立ちます。

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