第三十三話 こんな贅沢

でっかいヨットをフル装備で乗り回すのは贅沢かもしれないが、もうひとつの贅沢というのもある。
例えば、イーグルヨットです。

       

何が贅沢かと言って、このスペースの使い方です。前後に長いオーバーハングがあって、その長いオーバーハングのせいで、デッキ下では、キャビンスペースには全く寄与していない。それが前後にあるもんですから、44フィートというサイズがありながら、後部にはキャビン無しで、中央から前にひとつのキャビンがあるだけです。

何という贅沢なレイアウト。少しでもキャビンを広くし、あらゆる隙間は収納を考える。それが一般的な考え方かもしれないが。、そんな考えにはお構い無しであります。でっかいヨットで、広くキャビンを取るという贅沢もあるかもしれないが、これは空間を、そのコンセプトにおいて必要なだけを取った。前後の長いオーバーハングはスペース的に言えば無駄かもしれない。しかし、この何と美しい事。それが贅沢と言わずに、何と言おう。

考えて見れば、デイセーラーというヨット自体が、贅沢なんですね。上質のセールフィーリングを味わう事を主体とした。キャビンは狭いが、そんな事はお構い無し。強靭なハルを造っても、それがセールフィーリングを上げる為、様々な要素が、セーリングに向かっています。それが贅沢なんですね。

ありとあらゆる要素をいかに効率的に使うか? それが命題のように建造されるヨットの中で、そんな効率は無視して、セーリングをいかにと問うた。美しさやフィーリングに問うた。それは贅沢でしょう。そんな贅沢を満喫できるというのも悪くない。

だいたいヨットは贅沢な部類、日本ではそうでしょう。ならば、いっそのことここまで行って、もっと贅沢しても良いかな?どうせなら。遊びに何でも効率を求めると、いろんな面で中途半端になるかもしれないが、ここまで割り切ると、その贅沢を満喫できる。2シーターのスポーツカーを選ぶのと同じです。

車はセダンも大抵は持っている。だから二代目にスポーツカーとも考えられるが、ヨットでセダンは必要だろうか?だから、ファーストヨットはデイセーラーで贅沢にセーリングを楽しむ。そういう贅沢の味わい方というのもあります。デイセーラーって、贅沢な選択かもしれませんね。

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