第三十四話 スポーツ好き

日本人はスポーツ好きで、世間を見れば、ひたすら走っている人の多い事。それにテニスや野球やサッカー等、みんなスポーツを楽しんでいる。ところが、スポーツをやりますと、体は楽じゃない。むしろ、結構しんどいです。でも、やるんですね。暑くても寒くても。という事は、スポーツするに、多少のしんどい事は問題にならないという事です。

でも、それがヨットになりますと、あまりスポーツをしたがらない。むしろ、楽な方を選びます。そして、スポーツセーリングと言いますと、レースを思い浮かべてしまいます。レースももちろんスポーツですが、レース以外にもスポーツがあります。セーリングそのものを、本当はスポーツそのものとして捉える事ができます。ただ、そのスポーツとしてのセーリングを、どの程度までやるかは自由です。

でも、一般的にしんどいスポーツをみんな好んでやってるわけですから、それに比べたら、結構頑張ってセーリングしても良いぐらいではないかと思います。それゃあ、長い時間やればきついのは当然ですが、2〜3時間のスポーツと考えれば丁度良い。結構、頑張ってちょうど良いぐらいの時間かもしれません。

でも、セーリングスポーツは、体をそんなに酷使するスポーツではありません。もちろん、多少は使いますが、瞬間的な動きが多い。それと、頭のスポーツでもあります。緊張して頭使って、次の瞬間に緩和が来れば、ほっと一息。その緊張と緩和がとっても良い感じなのです。

正直言って、最高のフィーリングでセーリングを味わえる事は、そう多くは無い。だからこそ、そういう味わいを持った時は、最高なのです。また、味わいたくなります。でも、普段は風が弱すぎるか、強すぎるかです。 だから、普段は、弱すぎる風か強すぎる風に、どう対応していくか? これでも、最高とは言わないものの、対応の仕方によっては、ベストとは言わないものの、グッドなフィーリングを味わう事ができます。そういう事をやりながら、時に、最高のフィーリングがやってくる。

また、セーリングは知的なスポーツですから、その知性を活かして、あれこれと考える。でも、瞬間的な今の判断は感性でしょうね。という事は知性はマクロ的視野を持ち、瞬間の感性はミクロ的視野を持ちます。

つまり、体使って、知性を使って、感性も使う。スポーツの醍醐味は、人間の全てを刺激する。だから、面白いのかもしれません。丸一日緊張をもってやるのは無理な話ですが、2〜3時間という時間に区切って、真剣にやってみる。もちろん、その中にも緊張と緩和を繰り返します。セーリングとは、そういうスポーツのやり方もあるという事です。

ピクニックと集中セーリングとを、気分も分けて、使いこなしていただきたい。どちらもスポーツです。スポーツすれば爽やかです。気分上々なのです。気分が乗ると、ただ、真っ直ぐ走っているだけでも、緊張感をもって、集中して走れます。すると、感性がどんどん表面に表れてくる。これも良い感じですね。

頭使って、次のコースを考え、そこに瞬間的な感性の対応がからむ。そして、上手い事いきますと、グッドフィーリングであります。どんどん慣れて行きますと、頭を使って考える時間は短くなる。観察力が増して、そこに感覚的対応が来て、これもまたグッドフィーリングであります。

セーリングは体と頭と感性、最後は感性がどんどん大きくなる。だからこそ、もっと面白さが増える。何故なら、面白いというのは感性の言葉だから。

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