第十一話 アレリオンブランドの推移

さて、アレリオンにもバリエーションが増えまして、サイズ違いだけでは無く、各艇には、それぞれの考えがあります。アレリオン28が1990年にデビューして、基本は変わらないのですが、でも、長い年月を経て、いろいろ進化してきております。だから、今でも高い人気を誇っています。

時が過ぎて、時代の要求か、もっとスピードを求めるようになっていきます。それで、バックステーを無くして、大きなメインセールをプランした。セルフタッキングのジブを変えるつもりはありませんので、その上でセールエリアをもっと大きくする事を考えた。 そういう考えで、アレリオン33とか、38がデビューしていきます。

この時考えたのが、推測ですが、楽にハイパフォーマンスをシングルで操作する。そういう事ではないかと思います。メインセールはでかくなった。だから電動ウィンチを採用して、ラット仕様にして、ウィンチをすぐ前に置いた。キャビンも狭いながら、そこそこ凝って造った。セーリングのスポーツ性を残しながらも、ちょっとクルージングにも欲を出してきた。否、楽に高い帆走性能を味わう事を考えた。

確かに、性能は良い。シングルで気軽にハイパフォーマンスを味わえる。でも、スポーツ性を考えると、優雅なセーリングという面も少し強い。スポーツは何もヨットの性能面だけを言うのでは無く、操作する側においても、スポーツ性があるかないかという事もあると思います。

そこで次のヨットとして、アレリオン33Sが登場します。このヨットのベースはアレリオン33です。
このアレリオン33の内装をシンプル化し、電動ウィンチとラット仕様をやめて、マニュアル化しています。排水量は300Kg強軽くなったので、その分SADR値は高くなりました。バラスト比も高くなりました。操作面において、自分の手でシートを引く、出す、ラダーもティラーなので、フィーリングはダイレクトに伝わる。

つまり、アレリオン28と33Sにおいて、二つのスポーツセーリングと考え、アレリオン33と38において、スポーツ性は少し軽減する代わりに、電動ウィンチを配し、優雅なセーリングという要素を付け加えたのではなかろうか? シングルでスポーツセーリングするなら、やはり30フィート前後と考えたと思います。その方が自由自在感やら、面白さやらを味わうのにいいサイズと考えたのではないかと思います。

クルーを擁してのスポーツセーリングなら、もっとでかいのでも良いわけですが、あくまでシングルセーリングが基本ですから、それ以上大きなサイズとなった場合、考え方を少し変えて、シングルで、高い帆走性能を楽にに操作できるという方向で、スポーツ性ももちろんありますが、加えて、優雅さとか、もうちょっとクルージングとかも加えてきたかなと思います。そして、さらに、今春、アレリオン41をデビューさせました。

考えるに、シングルは基本ですから、その前提において、バリエーションを考えた時、スポーツセーリングなら30フィート前後で、あとは、どこまでスポーツ性を伸ばしていくか?それと、サイズをでかくして、優雅なセーリングにしていくか? この二つの方向性になるかと思います。

アレリオン33Sは確かにアレリオン28より性能は上です。しかし、上だから良い、下だから悪いと言うのでは無く、その性能の違いが、自分の好み、乗り方においてどうなのか? そこが考慮されるべきではないかと思います。運動能力の高いヨットは、その分、乗り手側にも相応の操作を要求しますから。

その後、アレリオン28には、バウポールとファーリングジェネカーという設定が加わります。これは、前々から、私も問い合わせしてきた事ですが、やっとそれが採用になりました。ますます、面白くなります。

それで、最後にまとめますと、アレリオン28と33Sでセーリングをスポーツして遊ぶ。操作してグッドフィーリングを得る。それが主たる目的として使われると、このヨットは活きてくる。また、アレリオンの33,38,41については、もっと優雅にセーリングを捉える。もちろん、グッドフィーリングを得るのは当然としても、もっと楽にグッドフィーリングを得ようという事になります。操作する側のスポーツ性は少し減じられる。楽にという事です。

これらのヨットは、シングルハンドです。それが基本であり、重要な処であります。クルーが居れば、どんなヨットでもどうにでもなります。しかし、シングルを容易にしてセーリングを楽しめるヨットはデイセーラー以外には無いと思います。

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