第四十二話 コクピット

いろんなコクピットがありますが、ヨットによって居心地というか、座り心地と言いますか、それぞれに違います。舵を握って座る位置。その感触の善し悪しにも、好みがあるかもしれません。

最近のヨットはコクピットが広い。ここが最重要の場所である事を物語る。セーリング中に、クルージングでもそうなんでしょうが、最も時間を費やす場所がコクピットですから。但し、外洋の大時化を前提に考えたら、広すぎるコクピットはちょっと危険を感じる。ただ、通常のデイセーリングから沿岸クルージングにおいては、そこまでの前提は必要無い。ただ、広いのは良いが、ある程度は深いコクピットの方が安心感はある。

コクピットは操船の場所ですから、様々な艤装の配置がどうなっているかは気になる処。加えて、コクピットは寛ぎの場所でもある。デイセーリングが主体なら、コクピットは全体の90%かそれ以上はコクピットが主役になる。

それを徹底的に割り切ったヨットが今度日本にはいったイーグルだろうと思います。これまでのデイセーラー以上に、割り切り方が潔い。キャビンはバウキャビンにバウバースとトイレがあるだけ。
俗に言うメインキャビンが無い。必要無いとも考えた。その代わり、コクピットがメインキャビンを兼用する。だから、そこに大きなフォールディングテーブルを設け、そのテーブルにはシンク/清水と冷蔵庫が設置してある。
 EAGLE 44

デイセーラーの代表格、アレリオンもサイズが大きくなると同じような考え方をしてきた。
 Alerion 38

セーリングにハイパフォーマンスと優雅さを求めた。但し、こちらにはメインキャビンもある。
コクピットでどう過ごすか? セーリング操作の場所でもありながら、最も時間を費やす場所でもある。考えようによっては、キャビンよりも重要である。とは欧米人のこれまでの考え方からの変化が見られる。キャビン重視からセーリングやコクピットを重視する向きが増えてきた。

そう言えば、もうすぐアレリオン41というのがデビューする。デイセーラーの進化の仕方も二つの方向に分かれてきている。ひとつはデイセーラーでありながらサイズが大きくなって、ハイパフォーマンス+優雅なセーリングを目指す。もちろん、電動ウィンチなんかは当たり前。

もう一つは、サイズは30フィート強ぐらいに留めて、レーサーに迫るようなスピードを求める。もちろん、どちらもシングルハンドを前提にしている事はいうまでも無い。この進化は目覚しい。世界はヨットに対するイメージを変えつつあります。

 DINAMICA 940

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