第三十四話 対応

微風への対応は前に書きました微風用セールを使う。しかし、強風への対応はなかなか手強い。
理屈を言えばリーフすれば良いわけですが、それがシングルだったりすると簡単では無い。もし、大型艇なら尚の事。いくらオーパイや電動ウィンチがあると言っても、簡単では無い。

オートパイロットを使う時、値段の事もあって、小さめのパワーを使っているケースは多い。クルーが居るならそれも良いが、シングルだったらやっぱり見合うパワーを持つオーパイを使いたい。そうで無いといざという時、使えなくなるかもしれません。

これはファーリングシステムにも言える。小さなサイズの方が安いわけですが、普通はそれでも良いが、強風の時とか、いざ巻く時に、かなりの力が要求されて簡単には行かない事もある。つまり、機械は何でもそうなんでしょうが、普通は良いんですが、いざという時に違いがでます。やっぱりできれば余裕がほしい。特にシングルなら。

先日のイーグル44は、44フィートにして、シングルを可能にしたデイセーラーです。ラットを握った状態で、ジブファーラーは電動で回転するし、シートウィンチも電動ですし、メインシートも出し入れが電動。バングやバックステーは油圧で、これも、コクピットから簡単に操作できる。このサイズですから、セールも必然的に大きくなります。普通の状態なら、電動もそこまで必要無いかもしれないが、強風時には必要でしょう。シングル前提なら。だから、このサイズをシングルで、力要らずで操作ができる。

従って、このヨットのコンセプトはセーリングというだけでは無く、優雅なセーリングを目指す。デイセーリングコンセプトなので、コクピットを主たる場所として、キャビンはトイレと寝泊りするだけのスペースと割り切ってしまった。割り切りもここまで来るとは。流石であります。

クルーが居るか、居るなら何人か? それで、どのように対応するか? 微風や強風をどうするか? シングルならどうするか? そのヨットのサイズに対してどうするか? マリーナからの出し入れだけの問題では無く。昨今のジョイスティックによって出し入れは簡単になりました。この事は大きい要素であります。しかし、出た後、セーリングをどうコントロールするか?

ジョイスティックを要するような大きなヨットであるなら、電動と油圧を駆使した装備になるのは必然かと思います。大人数ならジョイスティックは要らないし、それを設置するという事は少人数です。そうなると、パワフルなオーパイや電動式のウィンチ等々は必要になる。普通は必要ないが、強風の時には助かる。そういう時代かなと思います。

また、大きなヨットという定義も曖昧ですが。これも時代とともに変わる。昔は、30フィートでもでかい方だった。今では誰もそうは思いません。でかくなればなるほどに、セーリングは楽になると言いますが、しかし、いざ強風に見舞われますと、その力は相当でかい。その時、どう対応しようとするのか? 何でもそうですが、微軽風や通常の風なら何とでもなる事が強風になると事情が変わります。いざという時の対応はどうするか?これが善し悪しを決める。

それで、強風仕様にすると、通常において面白さが減少していく。だから、ここは考えねばなりません。セールサイズはどの程度まで対応できるのか? それを超えたら、電動を使うとか、対応を考えねばならない。 セーリングはチャレンジですが、無謀なチャレンジでは無く、用意周到なチャレンジをしないと、面白さとして味わう事ができなくなる。

次へ       目次へ