第二十八話 マニアック

一般的では無い物を好きになってしまいますと、世間はマニアックと呼んだりします。世間的に見れば、一般的では無いという事で、でも、好きになってしまった時は仕方ありません。また、世間的に一般的では無いと言っても、世間は本当は憧れていても、自分達では手が出せないというケースもあります。

先日納艇致しましたオランダ製のイーグル44もそのひとつでしょう。艤装の間、多くの方々が見に来られて、カッコイイ を連発されていました。しかし、この44フィートというサイズに対して、昨今のヨットの大きなボリューム感に比べますと、このサイズの感じはありません。低いフリーボードに、幅は狭い。それだけに、大きさから来る圧倒感は無い。よって、シングルでも楽に動かそうという気にもなれる。このヨットは圧倒的な美しさと優雅なデイセーリングを目指しています。











まだまだ艤装途中の写真ではありますが、電動のハリヤードウィンチ、電動シートウィンチ、バングとメインシートは油圧で、特に電動のメインシートはボタンひとつで出し入れの両方ができます。また、コクピットテーブルの中央には、冷蔵庫と清水シンクがあり、このヨットのメインサロンはこのコクピットなのです。

このヨットはシングルハンドで、全てのコントロールはボタンひとつ。まあ、何と贅沢な。でも、シングルでも、優雅に、そして高い帆走性能を楽しむ為のデイセーラーヨットなのです。

このサイズでデイセーラーと称した処にこのヨットの贅沢さがありますね。だから、誰でもというわけにはいかないかもしれません。だからマニアックと呼ばれるかもしれません。でも、実に良い。こんな風に遊べるオーナーの遊び心が、何とも素晴らしいと思います。世間が、もしマニアックと呼んだら、それは賞賛の言葉であります。羨ましいという意味かもしれません。

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