第二十話 デイセーリングの効用 

前話で集中とリラックスについて書きました。しかし、集中すると言っても、そうそう簡単じゃ無い事もあります。微軽風の時とか、その時間が長いとかです。仮にクルージングにセーリングで行くにしても、それは長時間に及びますから、セーリングに集中し続ける事は難しくなると思います。

そうなら、セーリングはデイセーリングにおいて楽しみ、クルージングはあくまで旅として割り切る。だからエンジンで走っていっても構わないとも思えます。そこで、デイセーリングになりますと、2〜3時間でも十分で、そこに集中力を高めて、中身の濃いセーリングを心がける。例え、微軽風であっても、いかに集中力を発揮できるかが重要なポイントになってきます。もし、強風なら、自然と集中力は高まりますが、緊張感も高まり決してリラックスというわけにはいきません。従って、技量を高める必要が出てきます。技量が高ければ高い程、緊張感は減じてリラックス感に変わるかと思います。

あらゆるスポーツとかコンサートとかはだいたい2〜3時間内で終わります。それ以上になったら、だれてくるのかもしれません。野球でもサッカーでも、テニスでも、或はコンサートに行っても、映画でも、だいたい2〜3時間です。たま〜に、年末年始の特番で、もっと長い特集番組なんかがありますが、これを集中して見続ける事はなかなか難しい。作る側も、見る側を飽きさせないようにするのは大変でしょうね。

だから、セーリングも2〜3時間というのは丁度良い時間なんだろうと思います。もし、それ以上になったら、間に昼食とか何か違う事をはさんでやる方が良いかもしれません。かつて、午前に2〜3時間、マリーナに戻って、お休みして、また午後から2〜3時間セーリングしていた事があります。
こうやると、長い時間でも連続でなければ集中できて、面白さが感じられます。しかし、微風というのは、なかなか集中できません。

それで、考えたのが、以前から何回も書いてきました、微風用のファーリング方式のスピン生地を使ったセール、ジェネカーのような、コードゼロのような、超ライトジェノアです。これで、微軽風を何とかできれば、再び集中力が増してきて、面白さを獲得できるのではないかと思います。

逆に、強風では、自然と集中してきます。しかし、いかんせんリラックスはできなくなり、緊張感が出てきます。これでは快感よりも恐怖感が強くなる。これに対応するには、技量の向上しか無いと思います。だから、普段の集中とリラックスで楽しみながら練習を重ね、徐々に技量を上げていくしか方法は無いと思われます。

そういういろんな条件の中で、やはり性能の高いヨットはオーナーを支えてくれます。軽く硬いハルは、セーリングに滑らかさを感じますし、加速感やその他のレスポンスの良さで、さらに面白さを感じさせてくれます。それがデイセーラーやハイパフォーマンスと言われるヨットが目指す処です。

従って、デイセーリングの効用は、セーリングそのものを楽しむには最も良い条件であると思います。そして、とりあえず、どんなヨットであろうが、デイセーリングを楽しむ事ができます。ですから、これをやらない手は無い。楽しまない手は無い。誰でも、すぐに、忙しい人だってできる事です。
忙しいからこそ、長い旅は諦めて、デイセーリングに割り切るのは簡単になります。その御蔭で、デイセーリングを満喫できるとも考える事はできます。

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