第十七話 ヨットの話をしよう

日本で最初にヨットを走らせたのは、1861年、英国人が長崎で乗っていたそうです。幕末ですね。そして、日本人による最初の建造は1882年、神奈川の葉山だそうです。日本のヨット発祥の地と言われます。明治15年ですから、当時の状況を考えますと、進んだ人が居たもんです。それから130年。

14世紀にオランダでヨットが初めて建造され、1660年に英国の王様に寄贈されたそうです。アメリカは、その後という事になります。

130年の歴史を持つ日本ですが、ご存知の通り、動乱の時代。その半分以上は遊んでなんか居られないという時代。高度経済成長を遂げて、その後のオイルショックやら、リーマンショックやら。
これからは高度は無理かもしれませんが、今後は安定成長が続けば、ヨットの普及はまだまだこれからであります。

現在のヨットはどんどん自動化が進んでいます。これはこれで時代の流れでもありますし、大型艇を簡単に動かす事ができるというのは良い事だろうと思います。しかし、一方では、純粋にヨット遊びを気軽さを持って遊ぶというのには、もっと小型艇の普及が求められるかと思います。もちろん、電動では無く、自分の手に感触をもって操作する面白さであります。恐らく、電動が流行ると、一方では、そういうマニュアル式のヨットも見直されていくだろうと思います。それが遊びである限り、便利さだけが優先する事にはならないと思います。だから。遊びは効率追求というより、遊びの感覚追求だろうと思います。

昔はもちろん小型艇ばかりでした。それがバブルの頃あたりから急速に大型化していったように思います。その後、一旦大型化したヨットは、バブル崩壊後にも変わらない。30フィートあたりは普通です。むしろ、小型の部類かもしれません。

もし、今後、小型艇が増えていく状況が出てきたら、それは日本に本当のヨットの普及が見えてきたという証拠になるのではなかろうか?大型もあり、それも簡単に動かせる時代に、もし小型が増えるとしたら、それは各人が本当にヨットを受け入れてきたという事になるのではなかろうか?

小型ヨットしか無い時代は当たり前ですが、いろいろあるのを知ったうえでの選択は、違った意味を持つ。そういう意味では30フィート以下ぐらいのヨットがどんどん増えていくのを期待したい。そして、このサイズのヨットは日本で建造する。豪華である必要は無く、質実剛健な感じ。シンプルで、でも高い帆走性能を持つヨット。ここに日本の造船所の復活の要因があるような?小型ヨットは輸入においては、経費の割合が高くなりますから。

ちょっとクラシックなヨットというのは日本でも人気が高い。そういうトラディショナルな小型ヨットを日本でも造ってくれないかな〜と思います。ただ、市場の規模の問題がありますから、今後の日本市場の発展に期待したい処です。

考えてみますと、確かにヨットで日本一周したり、世界を回ったりというのもあるでしょう。しかし、もっと身近に、もっと気軽に、ヨット遊びをやって良いんじゃないでしょうか?何も遠くに行くだけがヨットでは無い。近所であろうが、セーリング体験はどこでやっても同じです。一歩海にでれば、セーリングをする事ができます。車でドライブしたり、バイクや自転車と同じように、ちょっと出してセーリングを味わってくる。そういう気軽さが必要ではないでしょうか?それには、たいして大きなキャビンは不要ですし、気軽さの方が重要だと思います。

かつて、ヨットには何でもかんでも要求しました。でも、これからは違う。必要な処、楽しみたい処、それらが明確になって、それ以外はたいして要求はしない。その方が楽だし、また望む処に性能を充実させられるから、もっと面白さを感じられる。言わずと知れたデイセーラーの事を言ってます。
キャビンライフはヨットで無くとも、他でもできる。キャビンライフは別荘ライフ。ヨットを求めるのか、別荘がほしいのか?これは別物として考えた方が気楽です。

次へ       目次へ