第十話 考える

せっかく得た知識ですから、それを使わない手はありません。その操作によってすぐにその変化を感じ取れないにしても、やっぱり続けた方が良い。そのうち必ず違いが解るようになる。そして、考えずともできるようになる。

案外、知識は持っていながら、実践では使わないというケースも少なくありません。バングを使おう、バックステーアジャスターを使おう、メインのトラベラーを使おう。理屈も考えよう。観察もしよう。その変化が感じられないにしても。理屈は実践しておきたい。

最初は大きな変化しか感じられないかもしれませんが、やっていくうちにどんどん小さな変化も拾う事ができるようになるかと思います。それは変化を見逃すまいと意識しているからで、徐々に感知力が高まっていくからだと思います。それには、そういう具合に意識していかなければなりません。だから、やりましょう。

ある人が、ある日突然できるようになるという言葉をい聞いた事があります。それはヨットの事では無いのですが、いろんな分野で結構言われます。いろいろ模索しながら、できない時期を経験し、ある日突然できるようになった自分に気付く事があるそうです。もちろん、続けていけばであります。一旦そうなると、そのレベルの事が、それ以降はたやすく感じられる。継続の力を感じる時であります。だから、続けていける人には敵いません。そしてさらに、一旦そのレベルに上がったら、一生忘れる事が無いのではないかと思います。或は、忘れても、すぐに取り戻す事ができる。

子供の頃、自転車に乗れるようになると、何十年も乗っていなくても、すぐに乗れる。その感覚は体に染み付いていて、DNAのスイッチをONにしたのかもしれません。

元来、日本人は研究熱心で、勤勉な民族、これは世界的に見てもトップレベルなのではないかと思います。だから、何でもこなしてしまう。これは嫌でやってるわけでは無く、そこに面白さを見出してしまうもんですから、やり続ける事ができてしまう。その能力を発揮さえすれば、日本人は誰もがヨットを自分のものにしてしまえるのかもしれません。

経済もそうですが、オリンピックなんかを見ても、いろんな分野で日本人の台頭が見られます。そうなると、次回からはルールが変えられてしまうような気がしますが、でも、やがてまた頭角を現す。まじめにコツコツと取り組むからでしょうね。

仕事だからやる、遊びだから適当にでも良い、という事では無く、どうせやるなら上手くなった方が面白くなる。仕事でも遊びでも、遊びだって、ちゃんとやるには、それ相応の事はしなくてはなりません。だから面白いのであります。適当にやって面白いなら、適当な処でつまらなくなります。
それで、動機付けをしなくてはなりません。それは自分で何とかしなくてはなりません。だれてしまった時には意思の力も必要かもしれません。でも、続ければ、必ずそのご褒美はあると思いますね。

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