第六十九話 ハイパフォーマンスヨットという選択

セーリングを楽しむ、もうひとつの選択としてはハイパフォーマンスヨットです。又の名をレーサークルーザーと言ったりもしますが、ハイパフォーマンスなクルージングヨット、通常のクルージング艇を、よりハイパフォーマンスにする為に、船体は軽く、強くし、スタビリティーも上げたと考えても良いかと思います。つまり、クルージング艇のセーリングにおける性能向上を図ったヨットです。

スウェーデンのアルコナヨット、船体は軽くて強い。ヨーロッパのCE規格はAのオーシャンですが、CE規格Aはどれもがとっていますが、アルコナの内容を見ますと、7mの波で、ビュフォート10(風速24m〜28m)の中で、連続5日間以上、帆走を可能とする。という記載があります。

足が速くて、外洋性があって、尚且つセーリング性能が高い。これなら、例え沿岸クルージングしかしないにしても、時化た時には安心してセーリングができますね。だから、日常にセーリングを楽しんで、クルージングも楽しめます。

セールの基本設定は、大きなメインとノンオーバーラップのファーリングジブ。SADR値は22.7です。建造は、バキューム/インフージョン工法、最新の工法で、最も船体を硬く造る事ができます。

セーリングを楽しむというテーマを持った時、それがレーサーで無いのなら、必ずセールフィーリングという事が持ち上がる。それは速さだけでは無く、スムース感、加速感、乗り心地等々。そうなると、船体は硬く、軽くする必要があります。その上、スタビリティーも高く保持しなければなりません。もちろん、内装も充実させての上です。

このように、セーリングを充実させながら、同時に外洋クルージングまで楽しむ事ができる。これが現代のハイパフォーマンスクルーザーです。



   アルコナ340
   左上の写真ではジブを外側のトラックに
   リードしていますが、内側にもトラックが
   あり、基本セールはそこにリード。上り
   角度が良くなります。

   もちろん、外側トラックもありますから、
   ジェノアを設置しても良い。

   内装はご覧の通り。木材を多用、インナー
   モールドはあまり使いません。


シングルハンドでセーリングを楽しみ、また沿岸のクルージングを範囲にするなら、デイセーラーをお薦めします。しかし、もっと広い外洋性を含めた範囲という事であれば、パフォーマンスクルーザーという選択があります。ここで言う外洋性というのは、沿岸では無く、いわゆるロングの外洋です。

これまでは、レースをしないなら即クルージング艇という選択でした。しかし、これまで散々書いて来ました通り、クルージング以外の方が圧倒的に時間としては多い。そういう時に、セーリングを楽しんでは如何でしょうか?シングルとはいきませんが、ひとり相棒が居れば、オートパイロットを使わないでセーリングを楽しむ事ができます。ここに上げたのは34フィートですが、もっと大きなサイズでも同様です。

個人的には、過去にレーサークルーザーの53フィートをダブルハンドで、クルージングでは無く、セーリングを楽しんでいた事があります。もちろん、でかいヨットになれば、電動ウィンチ等のパワーアシストをお薦めしますが。ひとりでは難しい事も、ふたり居れば、かなりの事ができます。

今日の一曲 小野リサ イパネマの娘

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