第五十六話 クルージングという概念

クルージングという概念は、それこそヨットでの船旅です。日帰りも旅と言えば旅、数箇月やるのも旅です。どんな旅を想定しているのか?一回につき、2,3日か、一週間、数週間、数ヶ月 数年というもあります。元々、旅行好きの方は多いでしょうし、それをヨットで行くというエキゾチックなイメージがあると思います。

行った先で、散策し、ご馳走を食べ、温泉を楽しみ、また、あっちこっちで知り合う出会いもあります。そんな旅には夢がありますし、ロマンがある。たっぷりな時間を持って、ゆっくりと船旅を楽しむ事ができたら、どんなに良いでしょうか?時化たら、無理に出ないでも良い。そこに居ても良い。そんな時間無制限の旅がほしい。

これがクルージングに対する概念ではないでしょうか?それには、ゆったりしたキャビンがほしくなるのは当然で、快適装備も当然あった方が良いという事になります。しかし、だからと言って、でかいキャビンであればあるほど良いのかという疑問もあります。クルージングに行けば、現実は、波が高い時もあるし、強風もあります。そんな時、広すぎるキャビンに翻弄される事もあります。

それが現在のクルージング艇は、それに対してどうなんでしょうか?

さらに、現実はどうなのか? 時間的にそれができる状況にあるかどうかです。どの程度までできるのか、それがクルージングという旅を、年間を通じて楽しむ事ができるかどうかになると思います。年間のうち、何日ぐらいクルージングに行けるのか? たくさん行けるのなら、日常はメインテナンスだけやってても、それ程不満は無いでしょう。しかし、ショートクルージングする暇しか無いなら、その他の日数はどうするかという違う問題も出てきます。

ですから、クルージング艇にとって、年間を通じて、どの程度クルージングが出来るのかが重要なポイントになると思います。

現実を見ますと、欧米でも同様ですが、一般的に、毎年、数週間、数ヶ月のクルージングには、なかなか行く事ができないというのが実情ではないかと思います。だから、それを欧米人は泊まる事にしたのではないかと思います。だから、それに合わせて、造船所はキャビンを拡大してきたと思います。別荘なら、広ければ広いに越したことはないと思います。しかし、日本ではそれが非常に少ないわけです。

欧米人のクルージング艇に対する概念と、我々が持つ概念は違っていたという事になります。ならば、日本人の概念に合うクルージング艇を日本人が出してしかるべきですが、それには、日本のマーケットが小さ過ぎた。

        

このビデオの最後に、これがクルージングライフだと書かれています。旅に出ればいろんな事があります。良い天気もあれば時化る事もある。快走もあるし、無風もある。どこかにトラブルが出る事もあります。みんな自分で乗り越えて行きます。それがクルージングライフ。たっぷりとした時間が無いと、インスタント的には味わえない感覚ですね。となると、やっぱり引退してからという事になりますかね。では、引退するまでに、セーリングを身に付けておくというのはどうでしょうか?引退後のクルージングの為にも。

今日の一曲 坂本 九 上を向いて歩こう

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