第三十九話 チャーターヨット 

海外にはチャータービジネスが成立し、たくさんの会社があります。これらはビッグビジネスです。ですから、大手造船所はこのマーケットを狙います。このビジネスにとっては、見た目が良くて、装備が良くて、価格が安いというのが基本です。中には高級艇もありますが。

例えば、ニューヨークに住む人が、日常は近所で遊んで、休暇を取る時はフロリダあたりの暖い場所に飛行機で行きます。そして、そこでヨットをチャーターして遊ぶ事ができる。こうなってきますと、ニューヨークに置いておくヨットはどんなヨットが良いのか?

ある造船所に行った時ですが、その造船所はヨット回航の手配もしていました。例えば、夏はニューヨークにおいてあるヨットを、冬になると、フロリダに回航してマリーナに置いておきます。すると、オーナーは飛行機で飛んできて、フロリダで自分のヨットで遊ぶ事ができます。そして、冬が終わると、またニューヨークに回航するわけです。もちろん、その間に、メインテナンスも行います。ニューヨークのお金持ちはそんな事もしています。

チャータービジネスは世界中にありますから、例えば、外国に行って、同じ事をしても良いわけです。アメリカ人が、地中海に行って、そこでチャーターをします。自分のヨットをそこに回航するのは大変な事ですから、それを冒険したいという人も居ますが、そうでは無くて、飛行機で飛んで、そこで遊ぶ。忙しい人はそうするでしょう。チャーターは1日とか言う事もあるでしょうが、1週間とか数週間にも及ぶ事もある。

ある方の話ですが、海外でチャーターして、その時は船長とクルー付きで借りたそうですが、食事も造ってくれますし、どこかでダイビングしたいとなると、無線で連絡して、機材をボートで運んできたそうです。至れに尽くせりであります。

こういうサービスが世界に点在していますと、もし、これを気軽に使う事ができるのなら、日本に居ながら、あっちこっちに行って、現地でヨットを楽しむ事ができます。そういう遊び方もある。地中海とかカリブ海とか、きれいな海を見て、あんなところでセーリングできたら、さぞ気持ちよかろうとか思いますが、その気になれば、簡単に出来る。それがチャーターの良さですね。何も、日本からヨットで行かなくても、世界を回らなくても、飛行機で行く事ができます。

残念ながら、日本にはそれがありません。バブルの頃でしたでしょうか、海外のチャーター会社が日本に調査に来ていました。日本でチャータービジネスが成立するかどうかの調査でした。結論は難しいという事で、それで、進出は断念しました。その理由を聞きますと、天候ですね。雨が多い。冬は寒さが厳しい、それに長い。そういう事で、年間稼働率を考えると、ビジネスとして成立させるのは難しいという結論だったようです。

もし、日本でもチャータービジネスがあったなら、様相は変わります。例えば、東京に住む方が、九州で、ヨットを遊ぶ事ができます。そうしますと、自分のヨットで東京を出発する必要が無い。気楽です。また、そうなると、東京に置いておくヨットを、クルージング艇に限定しなくても良い。デイセーラーでも、レーサーでも良い。クルージングはチャーターで遊べます。

残年ながら、そういう事が無いのですが、でも、少しはあります。沖縄でチャーターをやってる人が居ますし、少ないかもしれませんが、無い事は無い。沖縄はちょっとあこがれでもありますね。
東京から沖縄までヨットで行くのは大変な事です。時間だけの問題でもありません。そういうロングが好きな方は良いのですが、多くはそうではありません。でも、沖縄でセーリングしたい。そういう時にはチャーターを是非どうぞ。但し、海外のように、いろんなヨットが選べるわけではありませんが。

でも、そういう事に慣れていきますと、自分のヨットはデイセーラーで遊んで、クルージングはチャーターで遊ぶという事ができます。年に1回でも、家族を連れて沖縄へ。観光もできれば、クルージングもできるし、これまでの観光旅行とは一味違う。これなら、家族サービスもできて、自分も楽しめますね。

海外旅行が何でも無い時代です。それでも、海外でヨットをチャーターした話はそう多くは無いようです。でも、そういう事が、その気にさえなれば簡単に出来る。世界を自分のヨットでクルージングするというのも、素晴らしい事ですが、スポット的に現地をクルージングするという事も可能です。
そうなると、ヨットライフの考え方も変わるかもしれませんね。

ギリシャでチャーターした人がおられまして、海の色が違うそうです。私、ギリシャに行った事が無いのですが、いつかは、世界に名高い地中海やカリブ海で、セーリングできたら気持ち良いでしょうね。そんな綺麗な処は、クルージングです。見るべき処はたくさんありそうです。しかも、チャーターで良いのは、毎年同じ場所である必要が無い事です。だから、日常はデイセーラーでセーリングを堪能した方が良いと考えています。クルージングとセーリングは別物ですから。

今日の一曲 ビル エヴァンス Walts For Debby

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