第二十話 エンジン

エンジンはその冷却を海水を船底から吸い上げて冷却します。さらに車のラジエーターを持っているエンジンでは、間接冷却と言って、サビ防止材のクーラントが入っています。良くあるトラブルは、取り入れバルブが固着して動かないという事です。無理して動かそうとしますと、折れるんじゃないかと心配になります。それで、対策は時々バルブを動かしてやる事ですね。エンジンルームはほったらかしではいけません。時々覗いて、オイル漏れとか水漏れとか無いか、ベルトは緩んでないかとか見る必要があります。その時、バルブもちょいちょいと動かしてうやります。

エンジンルームはいつもきれいにしておきます。そうすれば一滴のオイル漏れがすぐに解ります。
水漏れは、ホースの繋ぎ目とか、インペラの蓋とか、或いは、その奥の海水ポンプとかもあります。また、排気側で、エルボーと呼ばれる鉄製の大きなパイプがありますが、時折溶接部分で錆びが発生して、古くなると、そこから海水が漏れる事もあります。また、古いヨットではステンレス製のウォーターロックがありますが、これなんかも溶接部分で錆びがきて、漏れの原因になる事があります。最近のはプラスチック製ですから、こういう心配はありませんが。最も水が入ってくる可能性があるのは、スタンチューブです。プロペラが回転する時は、わざと水が入るようにして、摩擦部分の冷却になります。でも、これも最近は、PSSとか、水が入らないようにしている装置が増えてきました。

エンジン関係のトラブルと言いますと、燃料系が多いような気がします。とくに古いヨットでは、燃料タンクにゴミが溜まって、それが燃料パイプを詰まらせる。しかも、症状は長時間回さないと出ないという事が多い。回転が下がり出して、エンジンがストップ。しばらくしますと、またエンジンがかかる。でも、またストップ。こうなったら、タンクを疑って良いと思います。フィルターも変えた方が良い。

たまにですが、緊急用エンジン停止装置というのがついているヨットがあります。通常のエンジンストップとは別に、キャビン内にあり、見た目は通常のエンジンストップと同じに見えます。これを引きますと、燃料がカットされます。それだけなら良いのですが、戻しても、タンクについた燃料カットは戻らないので、ちゃんと手でタンクについたレバーを戻してやらなければなりません。たまに勘違いで、それを使ってエンジンを止めますと、今度エンジンがかからないという事になります。通常、これを使う事は無いと思います。

古いエンジンになりますと、白い煙を吐くのがあります。エンジンオイルが一緒に燃えています。という事は、ピストンリングが摩耗してきた。まだまだ使えるでしょうが、そのうちピストンリングを変える必要が出てきます。エンジンオイルが非常に減るようになったら、そういう状態ではないかと思います。そのうちパワーも落ちてきます。

長い間エンジンを回していないと、シリンダー内の壁のオイルが下がってきます。そして場合によっては空気中の水滴がつく。結露です。それで、そのせいで錆びるという事もあります。でも、エンジンはかかる。軽い場合はかかります。でも、間違いなく、シリンダーを傷つけるので、良いはずが無い。という事で、エンジンを時々回してやる。このオイル循環を考えれば、5分も回せば十分ではないでしょうか? バッテリー充電目的なら、長い時間が必要ですが。

エンジンは補機ですが、重要な機械。時々エンジンルームを覗く事と、いつもクリーンにしておく事。そして、オイルは定期的に交換する事。このオイル交換は将来に違いが出てきます。動く物は動かしてやるというのが基本です。他の物も同様で、全てのバルブは時々動かす。モーター類も時々動かす。たくさんの装備があればある程、やる事はたくさんあります。日常的なメインテナンスとしては、各部を動かしてやる事と、錆びとかが無いように、見えない部分こそきれいにしておく事だと思います。ビルジ溜まりも同様です。ビルジポンプのオートスイッチが固着しては意味がなくなりますから。

キャビン内のクッションを取り除いて、どこに何があるか、それらを全部把握しておく事が必要です。そして、掃除と、可動する部分は動かしてやる事、万一何かが起こったとき、水が溜まっているとか、海水か清水かを舐めて確認します。それで、対応の仕方がわかり易くなります。いつも習慣的にやってますと、全然大変な事ではありません。でも、私物が多いと、あっちこっちにいろんな物がありますと、やりづらくなります。ですから、できるだけ私物は少なめに。

今日の一曲 ロッド スチュアート  What a Wnderful World

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