第十七話 毎週土曜日

昔ですがサラリーマンだった頃、毎週土曜に釣りに行っていた事があります。土曜は釣りと決めていました。その日が、どうしても行けない事もありますが、その時はその時です。ただ、毎週土曜は釣りと決めていました。まだ夜も明けないうちに起き出して、コーヒーをポットに入れて、出かけます。それが習慣になって、興奮状態というより、ただ落ち着いた感じで進みます。興奮状態で行くというのは、モチベーションとしては続かないんですね。興奮状態で、しょっちゅう行きますと、その興奮状態が冷めてくる事が必ずある。ちょっとしたきっかけでそうなる事があります。ですから、長期間を考えますと、習慣化した方が良いと思います。

例えば、毎週土曜はセーリングと決めては如何でしょうか? その日が来て、どんな状況になるかは解りませんが、でも、兎に角、土曜はセーリングの日と決める。特に、他に何も無ければセーリングを遊ぶ日です。もちろん、臨機応変に対応しますが、取り敢えずそう決めてしまう。

しばらく続けますと、それが習慣のようになります。そして、毎回演出を考える。今度は誰かを誘ってみよう。今度はジェネカーをひとりで出してみよう。いろんな事が考えられます。

そして、頻繁に乗りますと、いろんな事がありますが、自然と体がヨットや海に馴染んでいきます。そのフィーリングが身につきます。1日に2,3時間のセーリングで十分です。同じヨットに何度も乗ると、体とヨットが馴染みますから、徐々に一体感も出てくる。そうなると自由自在感も出てくる。

車を運転する時、特別に何かを考えて運転しているわけではありません。自然に体が動きます。そのようにセーリングが出来るようになる。すると、余裕が生まれ、より違う何かを感じる事も出来る。

毎週という事になりますと、誰かを頼る事は出来にくくなります。ですからシングルハンドが良い。シングルでセーリングを楽しむには、デイセーラーが良いとなります。もちろん、そうで無くても可能なんですが。私の希望です。

そこが基本となってヨットライフを演出しますと、セーリングはぐっと身近になります。もちろん、他の趣味があればできるし、日曜にかみさんに付き合う事もできるし、その他の演出もし易くなる。ですから、自分自身にも、家族にも、土曜はセーリングの日と決めてしまうと、案外楽にセーリングを楽しめるようになる。別に土曜じゃなくても良いんですが。

誰かを誘う時でも、今度いつにとか考えないで良い。毎週土曜にはヨットを出しますから、いつでもどうぞてなもんです。宴会するでも、家族が乗りたいと思っても、毎週土曜です。もちろん、行けない日もありますが、でも、この土曜は崩さない。土曜はヨットと決まっている。

なんだか気分が楽になります。今度はいつ行こうかと考えないし、長く間があく事も無い。乗るも乗らないもそれが長く続くと、習慣化されていきます。それを変えるにエネルギーを要するようになり、特に、長く乗らなかったら、次に乗る時はより大きなエネルギーを要する。だから、習慣化して、気楽に遊ぶ事で、永く遊ぶ事ができるのではないかと思います。省エネ時代ですから、できるだけ少ないエネルギーで最大の効果を得る。それには、習慣化が一番と思います。

毎週乗るとなると、いつも同じパターンとはいきません。ですから、その日によって、乗り方を変える。例えば、クローズに特に集中してみる。いかにタッキングをスムースに、効果的にやるか?
いろんな風の状況がありますから、いろんな事が考えられます。もちろん、ジェネカーもあった方が良い。気楽さは必要ですが、体を楽にしたいわけじゃないので、いろいろ考えて、いろんなパターンのセーリングをします。それらを長い事やり続けますと、その先はどうなるでしょうか?

想像しただけでも面白い結果を生み出すのではないかと思います。本当の自由自在ですね。いつでも、臨機応変に対応できて、人間が持つ本来の怠惰な気持ちは無くなり、操作する事の面白さを覚え、腕も上がって、余裕もできて、感知能力は高まり、集中力がついて、云々。もちろん、楽してこんな事はできませんが、何年もやって得るこれらの能力は、きっと面白いかと思いますね。

習慣化しますと、特別な興奮なんかは無くなり、当たり前のように出かけていきます。それは怠惰が無くなるという事になります。面白さの最大の敵は怠惰ではないでしょうか?ある種の興奮をもって、怠惰を撃退する事は長くは続かない。興奮状態が無くなる時というのは必ずあるものです。そういうやり方では、長い間があく事になり、次に動く時は相当なエネルギーを要する。へたすると、何ヶ月もヨットに接しないという事だって珍しい事ではありません。

そこで、毎週土曜はヨットの日と決めてしまう事で、気楽になれるし、習慣化もしやすくなるのではないかと思うのですが。

今日の一曲 ジョニーハートマン My Funny Valentine

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