第十四話 ヨットの使い方

最もポピュラーなヨットは沿岸用のクルージング艇です。さて、そのヨットの効果的使い方は? それはクルージングですから、旅をする事に決まっています。しかし、そうも行かないのが現実です。
どの程度の頻度で、どの程度の範囲でクルージングをしたら、満足できるシーズンになるのか?
しかも、そのワンシーズンでは無く、毎年ですね。

現実は、仮に今年は旅を満喫できても、翌年はどうか? 現実は、なかなか思うようには行きません。それで、こういうヨットの最も効果的な使い方は何か? そうしょっちゅう旅に出れないとしたら、他はどうしたら良いのか?

簡単な話、ヨットに泊まる事です。家族、仲間、ひとり、メンバーはいろいろですが、時々、ヨットに泊まる事を実行するのが最も良いのではないかと思います。海外の人達を見ても、それが最も効果的なのではないかとさえ思います。

みんなで食事を作って、みんなで楽しむ。酒も飲める。その為の広いキャビンがある。ベッドもある。何も旅に出た時だけに使うものでは無い。日本人にはこれが少ないので、ヨットの稼働率が少ないですが、では、それを実行してみてはいかがでしょうか?要は慣れの問題、習慣の問題です。
もし、それができないならば、恐らく、この先、そのヨットをそう多くは使う事は無いのではないか?
そこが心配です。

手に入れて、最初の年は、頻繁に動きます。近場をクルージングして回る。でも、2年目以降は、その頻度はガタ落ちです。近場は既に回った。もっと遠くに行きたいんです。でも、遠くに行くには、それなりの日数がかかります。そこが問題です。年間に、そう何回も長期休暇を取るわけには行きません。かといって、近場はもうそんなにしょっちゅう行く気も失せてきた。ロングは引退してからという事になるでしょうね。

それで、時々、ヨットに泊まる。これで、別な楽しみを作ります。それが無いと、ヨットとの関わりは、ますます遠のくのではないかと思います。ですから、クルージング艇の効果的使い方は、ヨットに泊まる事ではないでしょうか?

さて、デイセーラーの効果的使い方は何でしょうか? まずはシングルハンドを容易にしておく事、いつでも、気軽に出せる為です。ある特定の快走セーリングだけを求めない事、いろんなセーリングがあって、いろんな状況を楽しむ為です。シングルが容易でも、たまに誰かを誘ってデートセーリングをする事。面白さを分かつ為です。ピュアセーリングを楽しむ事。もちろん、たまに泊まっても良いし、宴会しても良い。

クルージングでもセーリングでも、接触する機会をできるだけ多く持つ事。そこに多少の工夫は必要かもしれません。掃除をする日を作る。メインテナンスをする日を作る。兎に角、数多く接触する事ではないかと思います。楽しいだけがヨットでは無い。いろんな面を見るのがヨットライフです。
いろいろあるから、快走が面白くなり、いろいろあるから総合的に面白さが生まれるのではないかと思います。

ヨットに対する関わり方。そこが最も大事なところではないでしょうか? 技術や知識も必要ですが、それは関わり方がちゃんと決まれば、必然的に身についていく。長いヨットライフをいかに構築していくかは、ワンシーズンだけを楽しむのとはわけが違う。遊園地に遊びに行くにしても、あれだけ向こうがもてなしてくれるにも拘わらず、それでも、そうしょっちゅう行けるものでは無い。行きたくもない。でも、自分が工夫したり、自分で何とかしようとする場合は、しょっちゅう行けるようになるのではないでしょうか?

ヨットとの関わり方が決まれば、知識や技術を求めていく。その過程で、どんどん上手くなって、面白さのテーマも出来る。発見もどんどんあって、面白さが出てくる。そして、それを維持していく為にも、努力や工夫が要求される。それが面倒なのでは無く、それだからこそ面白さが発見できるのではないか〜? 良い時も、悪い時も、みんな味わってやろうと思えるなら、最高のヨットライフになるだろうと思います。ただ、それが解るのは、ずっと先かもしれませんが。

だから快適症候群にはならないように気をつける。それを意識しておく事は重要ではないかと思います。

今日の一曲 チェット ベイカー Portrait In Black And White

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