第五十七話 もっと、こうだったら

ヨットを使ううえで、もっとこうなら良いのにと思う事があると思います。今すぐ実現するかどうかはわかりませんが、そういう事を考えるのは重要で、私もいくつか考えましたが、たいていは誰かが既に考えている事ばかりでした。でも、それを見ますと、既に現実となっているので、なる程ととても参考になります。

今や技術的には大抵の物が可能です。但し、物によっては高価にはなりますが、まあ、それでもいつかは手が届くかもしれません。今まで発見した中で最もすごいなと思ったのは、全てオートマチックで動くヨットです。それが一般のヨットにも設置できるようになっていました。コンピューターを使い、油圧作動によって全てが動く。電動や油圧のウィンチは珍しくありませんが、これはすごい。セール上げて、風向風速計で風を感知、それによって最適なトリミングをコンピューターが指示し、油圧ピストンでブームやあらゆるシート類をコントロールする。オーナーは何もしなくても良い、ボタンひとつで全てが動くというものでした。もちろん、興味はあっても、こんあヨットには乗りたくはありませんが。

電動ウィンチを使っていた時、これがシートの巻き取りだけで無く、逆回転もしたら良いのにと思った時、やっぱりそういうのが既にありました。これでシートの出し入れはワンタッチなのです。この技術はスーパーヨットには既にお馴染みで、それが40フィートの超高級艇に採用されました。どれだけ引くかはオーナーによりますが、動作は機械がやりますから、ヘルムポジションから、ボタンひとつで、シート、メインのトラベラーも動かせる。

セールのファーリングシステムは既にメインもジェノアもジェネカーもあります。しかも電動も油圧もあります。つまり、ジェノアのファーラーにしても電動ウィンチでは無く、ファーリングドラムそのものが電動/油圧で回転します。もう20年前のスワンにはついてました。

オートパイロットは以前からありましたが、今ではワイヤレスのリモコンもありますから、ヨットのどこに居ても舵をコントロールできます。

カンティングキールはキールが左右に動くシステムですが、そのキールが前後に2個ついてるのがあり、それぞれを左右個別に油圧で動かせる。例えば、上りの時、二つのキールを風上側に動かす。そうするとスタビリティが高くなる。浅い所に行く時は、キールを左右に振れば、かなり浅いところも大丈夫。そんなシステムです。今、ヨーロッパではループキールなる物が出てきました。効果の程はまだ解りませんが、発明者曰く、浅いドラフトでも、深いキールと同じ性能を発揮するそうです ループキール  ツウィンカンティングキール

今の所はパワーボート用ですが、ジョイスティックで2基のエンジンをコントロールして、ボートが真横にでも斜めでも自由自在に動くシステムがあります。船底の下のプロペラのドライブが360度回転して、コンピューターで動かす。ヨットにはまだありませんが、そのうちそういうシステムができるかもしれません。そしたらマリーナの出し入れは誰でも簡単、大型艇でも簡単でしょう。ひょっとしたら、今でも、バウスラスターと回転するドライブで可能かもしれませんね。
 小さい写真で済みません。このドライブが回転するんです。

プロペラが必要な時だけ出てくるというのもあります。まあ、大型ヨットは何でもできる。でも、それがコンパクトになっていけば、小型にも使えるようになりますね。
 左右にありますから、その場回頭も簡単。使わない時は船体収納です。

GPSとオートパイロットの連動は既にあります。これで、GPSの入力ポジションに正確に行けます。
世の中どんどん便利になります。一方で、もっとシンプルが良いというのもあるわけです。昔ながらのヨットの方が壊れないし、良いという話も出ます。両方出るから良いのでしょう。

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